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分からない
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オレンジ色に染まった空。
一体何時間泣いてたんだ、と自分をある意味褒めてやりたい。そんなのお門違いにも程があるけれど。
携帯を開いて時間を確認する。時刻は4時を回っていた。そろそろ帰ろう、と座り込んでいた草原から立ち上がる。
けれど、ツイていない日はとことんツイていないらしい。
「「あ」」
丁度帰宅途中の実くんとばったり会ってしまったのだ。……出来れば会いたくなかった。
「……こんなとこで何やってるんですか瀬戸先輩」
不機嫌オーラ満載の実くんが仕方なく、と言った風に話し掛けてくる。
こう言うところは変に真面目らしい。
「あー、まぁ、色々と」
「今日は先輩も学校来てませんでしたけどまさか陽翔と……なわけないですよね、その目じゃ」
「………………」
真っ赤で少し腫れぼったくて、まさに今まで泣いてましたよ、と言わんばかりの目を見てきっぱりと言われた。
当たっているから何も言い返せない。
出来ればこの話題から話を逸らしたくて、適当に話を振る。
「実くんは、何してんの。今帰るとこ?」
「僕の家は反対側です」
「え?じゃあ何か用事でも、」
「陽翔に呼ばれたんですよ」
心臓が握り潰された。
目の前の後輩の手で、いや、実くんの言葉でと言った方が正しいだろうか。
不敵に笑みを浮かべて勝ち誇った顔を俺に向ける彼はさも楽しそうに話を続ける。
「さっき陽翔から『学校終わったら来て』って連絡が来たんですよ、僕に。何の用事かは分かりませんけど、でもきっと、特別な事ですよね?だって僕に、連絡をくれたんですもん」
陽翔から、僕に、特別、嫌味ったらしく強調された言葉の数々に拳は小刻みに震える。
何で、何で、何で何でなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
特別は俺だったのに。
俺だけの居場所だったのに。
そんなにもあっさり、別の誰かに渡すの?
悔しくて苦しくて泣きたくてでも泣きたくなくて、さっきまで並べていた言葉が全部綺麗事に変わっていく。
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