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他家のインターフォン
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ボロッボロだ…
残るムッとした暑さで額にうっすら汗をかいた。
ついその汗を服の袖口で拭おうとして、肩を上げた時、ハッとした。
(これ借り物なのに…)
雄大はぱんぱんと借り物の服を手で払った。
暗闇で何もわからないがぱんぱんと叩いた。
(倒れた時にビリっていったし、ゴミの上に倒れたし、絶対汚れてる。。)
雄大は涙が出そうになったが、丁度その時、後ろから爆音量の車が雄大を抜き去った。
(こんな所で泣いてたまるか!殴られたくらいで…)
ググッと身体を起こし、背筋を伸ばしたが、歩き出した。
今は何も考えられない…頭が整理できない…
グラグラと揺れるような感覚で雄大は長く暗い道を歩いていた。
「……」
見上げた先には成康の住むマンションの5階だった。
(ここに来て、僕はどうしようと言うんだ)
頭は引き止めているのに、心と身体はロビーに入って行ってしまった。
ロビーは朝の晴れやかなフロアと変わって、淡い蛍光灯が優しくフロアを包んでいた。
(どうしよう…)
雄大はウロウロとインターフォンと自動ドアを何度も行き来していたが、防犯カメラに気づき、ハッとその場から飛びのいた。
ウィーン
と外からの自動ドアが開き、若い巻き髪の女性とスーツの男性がお酒の香りを振りまきながら、入ってきた。
雄大は2人に背を向け、小さくなった。
2人はスマートにマンションの中に続く自動ドアを開いた。
目を上げて2人を見ると、女は男の腕に巻かりつきながら、
「なに?虐待とか?」
と呟いた為、雄大は再び目を逸らした。
2人のカップルはエレベーターが来る間も雄大の事を首を伸ばして見てくるので、意を決してインターフォンを鳴らす事にした。
金色の画用紙2枚分くらいの番に数字が並んでいる。
その数字に飲み込まれそうなくらい立っていられない。雄大は唾を飲んで、指を伸ばした。
『505って覚えやすいでしょう?』
「5、0、5」
ジー
小さく音がなった。
口を強く噛むと、口の端から血の味が流れてくる。
(いなかっからそれはそれで…)
雄大は汚れた借り物の服を握りしめた。
「はい?」
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