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好きの定義?
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『はい?』
機械越しの成康の声は少し高めに聞こえた。
「あっ…あの…」
『あれ?その声は雄大君?上がって上がって。』
「えっ…あっ…」
エレベーターに続く硝子のドアが開いた。
「いらっしゃい。どうしたの!?その顔!」
開口一番、成康は雄大の顔を両手で挟んだ。
「うぃやぁ…ちょっち、ちょくばのちとと…」
「職場の人?まぁ、上がって。」
ようやく手を離され、雄大はフルフルっと頭を振った。
「お邪魔します。。」
よく磨かれたフローリーグの廊下をスリッパで恐る恐る歩いた。
「ほら、そこに座って。」
L字型の象牙色のソファーを指差され、雄大は小さくなって座った。
ガシャガシャと音を立てながら、成康は小さな箱をテーブルに置いた。
「あんまり使える薬は置いてないけど。顔、見せて。」
成康は雄大の方に向かって、ソファーに座った。
成康は青色のタオルを雄大の唇にあてた。
「痛っ!!」
ひんやりとしたタオルが傷口にあたり、つい身体を引いた。
「我慢我慢。随分と深く切ったね。」
成康の長い指が雄大の唇の端に位置触れた。
「軟膏を塗ってるからあまり触らないようね。」
ビリビリっと絆創膏まで貼ってくれた。
「あ、ありがとうございます。あの…」
明るい灯りの下では服の汚れはひどいものだった。黒い線や茶色の跡が付いていた。
服を汚してしまって…弁償したいんですけど。」
「いいよ。大した服じゃないし。」
さらりとかわされるようにな成康が答えた。
「で、でも…」
「服、乾いてるから自分の服を着て帰るといいよ。その服はこっちで処分するから。」
パタンと箱を締めながら、成康は淡々と口を開いた。
「すいません。。こんな遅くに押しかけて…」
なぜ自分はここに来たんだろう?
「いいんだ。何時でも来ていいよ。」
なぜ泣けないんだろう?
「ありがとう…ございます。。」
なぜこんなに心が苦しいんだろう?
なぜ成康は傷の理由を聞いてくれないんだろう?
なぜ僕を好きなんだろう?
”好きって言われたから…'”
ズキン
僕は彼を好きなんだろうか?
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