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追い詰められる距離
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ガムテープが一つ、転がってきただけで、人の行動がこんなにもすぐに読めたのは初めてだ。
「あんたをメチャクチャにしてやりたいって思ってたんだ。」
ピリピリとガムテープが破れる音が雄大を追い詰める。
「な、何すんだ!」
雄大がガムテープを取り上げようと腕を伸ばすが、サッとかわさた。
「はっ、離れろ!!」
必死にもがくが、下半身は体重をかけられてる為、足がちっとも動かない。
「やめろ!離れろってば!!」
バシンッ!
雄大のもがいた手が、思いっきり上村の顔に当たった。
「あっ……」
「………」
上村のなんの感情も見えない顔が見下ろしてくる。
床の冷たい感触が背中に伝う。
雄大は何か言おうと口を開いた時…
「ぐっ!!」
上村は長く剥ぎ取っていたガムテープを一部切り裂いて、雄大の口に貼り付けた。
貼りつく感覚が肌に違和感を与えてくる。
「んっ!んーー!」
雄大はガムテープを剥ごうともがき、両手を顔に持っていったが、すぐに上村に捕まえられた。
「んぐーーんっーー!!」
首を振って抗議するが、上村は冷たい表情のまま、両方の手の甲を合わせ、頭の上で肘から上にガムテープをぐるぐると巻き出した。
(怖い…)
そこには絶対の恐怖しか無かった。
上村の手が雄大の顎を掴み、顔を近づけてきた。
「なんで俺はいつも椿さんを困らせたり、意地悪したりしてたと思う?」
雄大は目を大きく開き、泣きそうな目で首を振った。
「俺は椿さんの色んな顔を見るのが好きなんだ。初めて会った時から、色んな顔が見たいと思ってたんだ。特に泣きそうな顔する時は、死ぬほどそそられる。」
雄大は息を止め、ぐっと唇を噛んで涙をこらえた。
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