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にりまら
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元来、人見知り気質の人間だ。
表面上は愛想良くしているが、普段なら、自分から、しかも急に人の家のドアをノックしたりしない。
ピンポーーン
ドスドス…ドスドス
ガチャ
キィッ
「…はい?」
目の前に青い顔をした雄大がいた。
「やぁ…」
成康がぎこちなく手を挙げると、雄大の眩しそうな目が見る見る大きくなって行った。
「なっ!!?」
雄大が素早い動きで、玄関ドアを閉めようとしたので、成康は急いでドアとの間に今朝磨いた革靴を履いた足を差し込んだ。
「雄大くん待って!痛っ!」
「は、離れて下さい!」
「ちょっと、、まじ痛い…いや!あの黒田さんに言われて来たんだよ!」
「黒田さんに?」
少しドアが緩んだ気がしたが、まだ中に入れる間は無かった。
「黒田さんに…君が困ってるから助けてやれって!ちょっと入れてもらえる?こんな所、近所に…」
そう言ってもがいてる最中にドアは大きく開いて、雄大が成康のワイシャツの襟に飛びついた。
「何て、、何て言われてここに来たんですか?黒田さん、全部喋ったんですか!?」
「??何って?ただ…困ってるって…あとは何も…」
「そう、、ですか…」
細い指がワイシャツを滑る。その細さにどきりとする。
「何、困って…」
「うっ!!」
雄大は急に腹部を押さえ、顔歪めて、身体を歪めた。
「雄大くん?」
「ご、ごめんなさい!」
雄大はバタバタとスリッパを放り投げて、家の中へ入って行った。
あの様子、青い顔、痩せて疲れたような頬。
(どこか悪いのか…?)
成康はそっと玄関ドアを閉め、しんと静まる玄関でオロオロとした。
「んっ…つう…」
しばらくするとトイレの流れる音と呻き声のようなものが奥から聞こえて来た。
「ゆ、雄大くん?」
成康は恐る恐る玄関から中を覗くように顔を出した。
すると5メール位先の廊下に倒れるようにうずくまる雄大がいた。
「雄大くん!!あっっ…!」
投げ飛ばすように脱いだ靴をきちんと揃え、成康は急いで雄大に駆け寄った。
「大丈夫??」
「お腹…痛くて……」
厚みのない背中に手を乗せると骨がくっきりとなぞれるほどの細さに一瞬手を退けてしまった。
「2階…」
シューシューと荒く呼吸する雄大が、苦しそうに口を開いた。
「2階に連れて行って…」
「えっ?トイレは?」
「いい…今行ったばかりだから、もう出ないよ。それよりここにいて、母さん帰って来たら困る。…まだ帰ってこないとは思うけど。。」
そう言って雄大はふらつきながら立ち上がった。
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