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店長の受難
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うちの可愛い隊長がやさぐれております。
「ゆ、雄大君…」
パンを片手に携帯を見ていた可愛い隊長が、大きな目だけを上げた。
「何ですか?」
「いや…あの…」
可愛い隊長は不機嫌そうな顔で再び携帯に目を落とした。
(どうしたの?その金髪!?)
喉まで出たが、言葉が口から出らず、ウッと詰まった。
遅出だった私が出勤したのは12時。
来た瞬間、パートの菊池さんが、
「ちょ、ちょっ、ちょっと、店長!!」
と腕を引っ張ってきた。
「なになに?なんか商品届かなかった?」
菊池さんはバシンと強めに私の腕を叩いた。
「そんな大した事じゃないわよ。」
「いえ…結構大した事ですが…」
菊池さんはごにょごにょという私の耳を引っ張り、売り場を指差した。
「ほら、見なさいよ!!」
一瞬、眩しくて目をつぶりそうになった。
黒いパーカーにジーンズを履いた金髪の男の子が、床にしゃがんで、商品を出していた。
私はギリギリと首を回して、菊池さんを見ると力強く何度も首を上下していた。
「店長。」
「あっ、はい。」
窓からの光を浴びて、雄大君の金髪はキラキラと輝いている。
「僕の有給ってあと何日あります?」
雄大君は携帯から目を離さずにいた。
私は重たい空気にうーんと苦笑いをした。
「あっ、、調べとくよ。」
「…お願いします。」
「う、うん。」
店長はしょげたような気持ちでスタッフルームを出た。
(あんな不機嫌そうな顔を前面に出してる雄大君、初めて見たな…一昨日の”殴り合い事件”からなんか元気なかったからな…)
「それでも急にどうしたんだろうな。」
私ははぁっとため息をついて、背中を丸め、売り場へ戻った。
(なんにも起らなければいいけど…)
と祈ったものの、もちろん事件は起こった。
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