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………端から見たら、あれは捕食者とそれに怯える小動物だな。
そんなことを思いながら、生徒の名簿を手に取る。
この学校に勤務し始めて5年になるが、この二人ほど絵になる奴らを、俺は見たことがないと、柄にもなく感じる。
何やら話している2人を目の端に入れながら、名簿の1年のページを開く。
何ページかめくると、綺麗な顔の写真の横に、重々しい文字の赤い判子が押されている生徒が出てきた。
―――白河 幸。
男性であり、Ωである。本人は知らないだろうが、白河は教員全員に守られている。
秘密が多いのもあるが、ヤツは本当に美人だ。
そういう意味でも守られている。
静かになったな、と思って2人を見ると、白河が顔を隠すように手で顔を覆っていた。
顔を隠していても、耳まで真っ赤になっているから鋭い一谷には照れていることなんか、お見通しなのだろう。
面白くてその様子を眺めていると、不意に白衣のポケットの仕事用のスマホが震えた。
表示を見ると、風紀のもう1人の顧問からだった。
もっと2人を観察していたかったが、一谷が「鬱陶しいから早く出ていけ。」という目線を寄越してくるから、仕方なく行くことにする。
CDプレイヤーをしっかりとセットし、白河に一言断ってから保健室を出た。
「これからが、心配だな。」
小動物に穏やかな表情を向ける捕食者と、顔を真っ赤にしてぷるぷる震える小動物を思いだし、俺は微笑んだ。
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