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きっとみなみも既に探しただろうが、もしかしたら…と思って、1年のエリアは全て探したが見つからなかった。
男子棟を合わせると、この学校の敷地はかなりの規模だ。
どうしようかと考えあぐねて居ると、目の前を白い布がヒラリ……
僕は反射的にその布をがっしり掴んだ。
「うぉっ……ってお前か!」
「せ、先生!!」
いきなり引っ張られたのに、少しだけしかよろめかなかった先生に同性として、少しだけ悔しくなった。
が、それどころじゃない。
1年のエリアを見て回っただけで不安でいっぱいになっていた僕は、先生を見ると少しだけほっとしたようで。
無意識に目の前が歪んだ。
「は!?おい、白河どうした!?」
「先生……せんせ…あやちゃんが…っ…!」
「あや……?あぁ。佐藤がどうした?」
「どこに居るか知りませんか…?」
必死に聞く僕の気持ちが伝わったのか、先生の顔が一瞬で真剣なものになった。
「佐藤に何かあったのか?」
僕を安心させるように、同じ目線になるようにしゃがんだ黒田先生。
それに答えるように僕は今の状況を一通り話した。
「グラウンドの端か…。それなら、体育倉庫の裏か中だな。」
「黒田せんせ…あやちゃんは………」
「大丈夫だ。とりあえず、白河は保健室で待機だ。」
「…………え?」
「友達が心配なのはわかる。でもな、お前を危険な目には合わせたくない。」
「でもっ」
「でもじゃない。白河はここにいてくれ。」
話ながら移動していた僕と先生。
黒田先生はどこかへ連絡すると、僕にもう一度釘を刺して走って行ってしまった。
でも、何故かみなみと同じ様な理由で僕には手伝わせてはくれない。
それが凄く悔しくて、僕は唇を噛み締めた。
――――僕がもっと男らしかったら。
「―――――僕がΩじゃなかったら。」
僕が呟いた言葉は、白い床の上にぽつ…と落ちていくだけだった。
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