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10.エロ悪男に恋をしちゃって-エピローグ
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撮影場所に着くと、やはりドキドキする。すれ違う人の人数が多くなると、下を向きたくなる。
でも、今は自信が溢れていた。それは、やはり、恋人と言える存在ができたからかもしれない。
「おっせー」
「壱成が早いんだよ……」
控え室に行くと、朝まで一緒にいた大好きな人が先にいた。壱成はユキジを見ると、なんでこんなに時間が掛かるんだと言いたそうな顔を向け、紙コップの珈琲を飲み干していた。
「俺の家からそのまま行けば良かったのに。一回帰るとか言うからだぞ」
「だ、だって、同じ服は着て行けないし……コンタクトも付けなきゃだし……」
青い目を隠すコンタクト。それは、ユキジにとってとても大事な物だ。それを、壱成も知っているので、それを言うと黙ってくれた。
「……ま、そっか。昨日は急だったもんな。次は帰んなよ」
「そ、それは……」
「あっ、一緒に住めば良いか。そうしよう」
「えぇ!」
「決定」
「強引……」
「好きなくせに」
「すっ、好きじゃ……」
「ない?」
壱成はクスクス笑いながら、揶揄いながら、ユキジに近付き、抱擁してきた。
その温もりは、さっきのと同じで、心が落ち着くのが分かった。壱成の匂い、壱成の体温、壱成の低くて落ち着いたエロい声。その全てが身体を包んでいる。
そんな事をされたら、嘘なんて付けない。
「……好き」
恥ずかしいけど、言ってしまう。
この、エロくて意地悪な男に恋をしていると。
「知ってる」
そう言って、壱成が笑うのが伝わってきた。でも、身長差があって顔は見れない。
そんな甘い雰囲気の二人の間に、明るい声の主が元気よく扉を開けて入って来た。
「来宮さん、おはようござ……」
ユキジはその秋幸の登場に驚き、慌てて壱成から身体を離した。
秋幸の顔を見ると、どんな反応をしたらいいのかと固まっていて、「俺達邪魔だった?」と言って来た。
そんな秋幸に、ユキジは誤解だと告げ、赤面した顔で必死に秋幸に嘘の説明を伝えた。
壱成は必死になっているユキジを見て、笑いを堪えていたけれど、ちゃんと話しを合わせてくれて、その場はなんとか収まった。
本当は、秋幸や祝に壱成と付き合っている事を言いたかったけれど、それはまだ後にしようとユキジは思った。
(まだ、二人だけの秘密にしていたい……)
それは、壱成も同じようで、二人の時はいつも意地悪で、とても甘くて優しかった。
そんな一面を知っているのは自分だけ。そう思うと、優越感にユキジは包まれた。
でも、壱成の強引さには少しだけ頭を抱える。有言実行とでも言うように、ユキジの荷物を全て壱成のマンションへと移動させてしまったのだ。
『そんな俺も好きだろ?』
と、言われてしまえばユキジは何も言えなくて、甘える事や我儘を言えない自分にとったら、これくらい強引にされなければ駄目だと言う事も、壱成と付き合うようになって分かった事だった。
壱成と出会い、変わっていく自分がいる。初めて知る事がたくさんある。
それが楽しくて、嬉しくて、ユキジは毎日幸せだった。それを与えてくれるのは、エロくて意地悪なこの男。そんな男に恋をしちゃって、ユキジは幸せな日々を手にする事ができたのだった。
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