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木蓮の季節
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「本当よねー!あ!龍くん今日来るかしら!来るわよね!?まだかしら!」
一度の息継ぎに、一体幾つの話題が入るのか?と貴仁が呆れていると、再び香奈子が口を開いた
その喋りは終わりのないリピートのかかった音楽のようで笑えてしまうのである
「龍くんに木蓮、見てもらわなきゃ!あと、美味しい珈琲の入れ方教えてあげる約束なの!」
「美味しい珈琲の入れ方?龍希が?」
何でまたあいつが?と貴仁は不思議そうにその眉をくいっと少しだけあげた。癖である
「そうなのよ、教えてって言われたの。私があまりに上手いから、憧れてるのかしら!」
自画自賛をしておどけてみせる香奈子は、とても子供っぽく笑い、そんな時、こいつは可愛らしいなと貴仁はいつも思った
すると香奈子が、ひと息つき、やや悪戯っぽい笑みに変わると
「あなたの為じゃないかしら、龍くん、貴方のこととても好いているわ」
その言葉に、少しぎょっとした顔をした貴仁だが、そのすぐ後の、
「貴方に憧れてるのかもね!大人の男!みたいな事じゃない?」という彼女の台詞に
ふふっと笑い、
「そうか?俺は寧ろ目を合わせて貰えてない気がするんだがな」
と、片手で頭をガシガシとかき回してみせた
そして貴仁が龍希に何かと目を反らされている日々を思い返していこうとしたその時、
玄関の方から香奈子を呼ぶ少年の声がした
高校帰りの龍希である
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