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嫌いだけど・・・うん
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豪華なドアを開けると昨日の奴が待っていた
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「凱」
「はぁ・・・・おはよう空」
「別に嫌々挨拶しなくてもいいし」
「なっ!」
「あんたの顔にもろでてる」
「・・・・・・・・・・あのなっ!俺だって誰が好き好んでお前なんかに・・・・」
「凱、駄目」
「わかったよ」
やっぱり俺とは合いそうにないな
意地悪そうだしね
「じゃ、まず呼び方だけど俺達の事は呼び捨てでいいよ」
「うん」
「俺が楓で彼が凱」
「わかった、楓とレッドモンキー」
「はい??」
「ぴったりすぎて笑える」
「楓っ!一発殴っていいか?」
「駄目」
「何で?こいつマジムカつくんだけど」
「空もちゃんと名前で呼んでね」
「はいはい」
「ところでレッドモンキーって何だよ」
「森に住んでる猿で、すぐに怒って噛み付いてくる凶暴な奴」
「は?」
「そっくり」
「クソガキ!」
「猿!」
「いい加減にして」
「だってこいつがさ~」
「怒られてんの」
「くっ!もういい、楓の頼みだから仕方なくお前とは話をするけど俺はお前の事が嫌い・・・いや大嫌いだ」
「別にいいし」
「はい、おしまい!じゃ話を」
「うん」
「・・・・・・・けっ!」
すぐむきになるなんて馬鹿みたい
本当に人間?
魔法が使えない時点で人間じゃないよね
「じゃ、空座って・・・・凱も」
「はいはい!!」
凱は背中を向けて椅子に座った
ホントに子供なのはどっちだか
「じゃ、まずは今まで空はどうやって生活してきたのかを話してくれる?」
「生活?」
「親や兄弟とかいるのかな?恋人とか好きな人がいたのならきっと心配しているだろうしね」
「そんなのいない」
「いない?」
「俺は生まれた時から一人だしね」
「ご両親は?」
「さぁ、だって俺はゴミ箱に捨てられてたんだし」
「えっ?」
「それを拾ってくれたのが錬金術師のおやじでさ、俺が10才の時に敵国の矢に射抜かれて死んだ」
「そう・・・ごめんね」
「いいよ別に」
「敵国って?」
「よく知らないけど、わけのわからない戦争がずっと続いてるんだ」
「そう」
「でも、敵が攻めてくるのはたまにだけどね」
「じゃ、普段は?」
「適当にね」
「仕事は?」
「どこも人を雇う余裕なんてないさ・・・金を持っているのは貴族様だけ」
「そう、じゃどうやって生活を?」
「その貴族様に体を売ればしばらくは食べて行ける」
「えっ・・・」
「変態おやじばかりだけどね」
「・・・・・・・・・・そう」
「でも、体が辛い時は仕事が出来ないからゴミを漁るんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
そして背中を向けたまま凱が尋ねた
「お前、どこに住んでんだ?」
「家なんかないしいつもは橋の下とかね」
「でも魔法で家ぐらいさ」
「そういう事に魔法を使ったら罪になるんだ」
「そうなのか」
「もちろん食べ物も駄目だから毎日空腹に耐えてる」
「そうか」
「ゴミ箱は宝の山だし」
背中を向けたまま頷いた凱はなんとなく様子が変だった
「凱、お茶を持ってくるように言ってくれる?」
「ああ」
「ありがとう」
なんだ?
そのまま顔を見せずに部屋を出て行ってしまったけど
「じゃ、話を続けよう」
「うん」
「簡単にまとめると、空が突然消えても捜す人はいないって事だね」
「そそ、とんかつもここにいるし俺の友達はこいつだけだから」
「そんな事は無いと思うよ?」
「えっ?」
「俺も友達になりたいと思ってるしね」
「楓が?」
「うん、もちろん凱もね」
「あいつはないよ」
「凱は悪い人間じゃないし、とても優しくていい人なんだ」
「信じられない」
「ホントだよ、消えた空とは大の仲良し」
「へぇ」
俺と仲良しになるのは有り得ないけどね
「じゃ、もし空がもとの世界に戻ったらまた同じような生活を?」
「だね」
「・・・・・・・・・・・そう」
「ここは居心地がいいからずっといたいな~、なんてね」
「居てもいいんだよ、話を聞いたら帰したくなくなってきたかも」
「えっ?」
「耐えられないな、空がそんな生活を送っているなんて」
「他人だけど?」
「他人だけど、空とそっくりな理由がなにかありそうでね」
「ふ~ん」
「とにかく、後でこの国の王子に会わせるから」
「えっ?」
「心配しなくてもいい、話をするだけだから」
「わかった」
「それと、ついでに話しておくけど」
「何?」
「消えた空はその王子の奥さんなんだ」
「えっ、空って女?」
「違うよ」
「男?」
「そうだね」
「へぇ~~、驚いた」
「空が消えてからかなり落ち込んでいてね・・・・・だから空を見て抱き付がれてしまうかも知れないけど、許してね」
「その王子っておやじ?」
「ううん」
「まぁいいや、どの世界でも我儘な金持ちは王族と貴族なんだし」
「空、奏はそんな人間じゃないよ」
「奏?」
「王子の名前」
「でも、俺は貴族や王族が大嫌いなんだ」
「・・・・・・じゃ、俺も嫌いかな?」
「楓は・・・・助けてくれた」
「奏の事もさ、話もしないで嫌いにならないで欲しいな」
「・・・・・・・・・」
「ねっ?」
「わかった」
どうも調子が狂うな
楓って掴みどころが無くてたまに困るけど、嫌いじゃない
こそして話をおえた俺は、その王子とやらに会う事になった
どんな奴なんだろう
王族なんだしデブで気持ち悪い奴に違いない
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