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王子?
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「凱を呼んでくるからこのまま待っててね」
「うん」
空を部屋に残し、凱を捜した
凱はサロンに置かれたピアノの前に座り、俯いていた
「やっぱり泣いてた」
「な、泣いてなんかっ」
「凱は優しいから」
「だってさ、家もなくて体を売るなんて・・・・耐えられない、同じ顔だから余計に辛くて」
「そうだね、空の世界はどんな仕組みなのかはわからないけど、俺も悲しかった」
「もし、あいつがもとの世界に戻ったらまた」
「凱、出来れば同じ顔の空にも幸せになって欲しいね」
「・・・・・・・・・だな」
「奏に会わせよう」
「ああ」
凱を連れて部屋に戻り、空を呼んだ
「空、誰もいないから今のうちに行こう」
「うん・・・・なんだお前も来るの?」
「行くよ」
「どうしたの?元気ないじゃん」
「別に普通だし」
「へぇ」
「と言うか、お前・・・その痣」
「これ?ここに来る前に抱かれたおやじがつけたんだ」
「・・・・・っ」
「でも、金払いがいいし我慢すればいいだけ」
「後で温泉に入れ」
「温泉?」
「ここの温泉は傷に効果がある」
「よくわかんないけどそうする」
「後で案内してやる」
「じゃ、案内させてやるよ」
「ったく」
やはり話を聞いてしまった凱は空にきつく当たれなくなっていた
ホント、優しいね
そんな会話をしながら長い廊下を歩き、奥の部屋のドアを開けた
「奏」
「・・・・・・・・・・・・・・空?空なのか・・・・・お前、どんなに心配したかと・・・・・」
やはり気付かない?
そんなはずはない
「・・・・・・・・違う、お前は誰だ」
やはり気付いた
「あんたが王子?」
「奏、まずは話を聞いて」
「話?」
「そう、とても大事な話」
「わかった」
奏は空が消えてからかなりやつれた
食事も余りとらないし、ずっと部屋にこもりっきりで心配だった
俺だって突然凱が消えたらきっと奏と同じだろうけどね
「それで話とは?」
「うん、実はね・・・・・」
昨日空を助けた話から始めて空の正体も打ち明けた
「は?魔法使い?」
「うん」
「楓、俺を元気付けるにしてももう少しまともな嘘をつけ」
「本当なんだよ」
「まさか、この世界に魔法使いなんて」
「だから空はこの世界の人間じゃないんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どう信じろと?」
「空、この部屋は暗くて空気が悪いからカーテンを開けて窓を全開にしてくれる?」
「いいよ」
「魔法でね」
「わかった」
空はワンドを握り締め、魔法を唱えた
「えっ・・・・?」
軽やかに閉め切ったカーテンが開き、窓が開けられた
爽やかな風が入り、唖然としている奏の髪を揺らした
「マジかよ」
「信じた?」
「信じるしかないだろ」
「よかった」
「それじゃ、俺の空はこの空の世界に?」
「可能性は高いね」
「じゃ、どうやって連れ戻せばいいんだっ!」
「焦らないで考えるんだよ」
「クソッ!」
もう少し時間が掛かりそうかな
仕方がないので落ち着くまで静かに待つことにした
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