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空の話
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う~ん、ここに居ろと言われても会話が全くないとか
別にそれでもいいけど、もう少しいろんな事を知っておいた方がいいような気もする
黙って月を見ている奏に話しかけるきっかけを探していた
漸く、グラスに入った赤い液体を飲んだのですかさず尋ねてみた
「あの・・・さ」
「何だ」
「俺がここにいる時は、空のフリをするんだろ?」
「そうだな」
「でも、俺は空なんて知らないしばれちゃうかもよ?」
「・・・・・それは困る」
「じゃさ、教えてよ」
「何をだ」
「例えば、空の性格とか癖とかいろいろ」
「・・・・・・・・・・そうだな」
あっ、また暗い表情になった
と言うか、この人って笑うのかな?
ずっと無表情だけど
「じゃ、まずは性格は?」
「素直で明るくて誰からも好かれるような奴だ」
俺と正反対かよ
そんな奴がいるなんて驚きだ
「へぇ、その空は苦労も何も知らずに生きてきたんだろうね」
どうせそうだ
生まれた時から幸せで、何不自由なく暮らして来たに違いない
「いや、数え切れない程辛い事があったしその原因は全て俺なんだ」
「えっ?」
「いつも裏切るのは俺ばかりで、空はそれでも諦めずに耐えてくれた・・・空はいろいろな困難に遭遇しながらここまでやって来たんだ」
「困難?」
「空や凱はもともとは日本という国に住んでいたんだ」
「日本・・・?」
「ああ、この世界は色々な国がたくさんあるんだよ」
「へぇ」
よくわからないけど
「そして俺と楓もその日本に住んでいた」
「どうして?」
「王子はごめんだったから楓と二人で島を飛び出したんだ」
「変なの!ここに居れば何でも好きな事が出来るじゃん」
「好きな事が出来ても自由がない」
「・・・・・・・・・・・・そうなんだ」
よくわからないな
「俺達はバンドを組んで毎日面白おかしく暮らしていた・・・・・毎日楽しくて毎日が自由だった」
「バンド?」
「それは楓が凱にでも聞け」
「わかった」
「何不自由ない生活だったけど、俺には欠けているものがあった」
「欠けているもの?」
「人を愛すると言う事かな・・・」
「そうなんだ」
「でも、空と出会ってから俺の毎日が変わった・・・・・・毎日逢いたい、毎日傍に居て欲しい・・・・そんな感情なんてなかったはずなのにな」
「うん」
「空を手に入れてからの毎日は幸せでずっとこのまま続いてくれるのかと思い込んでいたのに」
「ここにいると言う事は理由があったんだ」
「そうだな・・・・・空とは別れたくないがこの国を捨てるわけにも行かない」
「だろうね」
「俺は空を捨てたのに・・・・・それでも空は諦めずに俺を追いかけてここまでやって来た」
「捨てた?」
「自分の生まれた国を捨ててここまで来るなんて夢にも思わなかった」
「へぇ」
「でも、ここに来てからも空には辛い事ばかりさせてしまった」
「そうなの?」
「言葉もわからないし、環境も違う・・・・いきなりやって来た外国人を島の人間は簡単に受け入れてはくれないし、ましてや身分が違う空と結婚など許されるはずがない」
「めんどくさいね」
「だな、でも空はくじけずに頑張ったんだ・・・・そして島の人間に受け入れてもらえた」
「なるほどね~」
「凱も同じだよ」
「え?」
「凱と空は二人で頑張ってここまでやって来たんだ」
「凱・・・・・」
「あいつは優しいし空もなついている」
「優しい?あいつが?」
「ああ、すぐにわかるよ」
「そうかな~」
優しいねぇ
そんな風には見えないけどね
「だから空や凱は最初から幸せだった訳ではないんだ」
「そうなんだ」
でも今は幸せなんだからそれでいいんじゃないの?
俺はこれから先もお先真っ暗なのにさ
「それから空は動物に好かれるんだ」
「動物なら俺も好きだからオッケー」
「そうか、後聞きたい事は?」
「ん~、取りあえずはいいや」
「わかった」
「うん」
話は何となくわかったけど、まだ理解はしていない
まずはこの世界の生活に慣れる事が先決かもね
魔法が使えないし、不便な事ばかりになりそうだけど毎日ご馳走が食べられるなら我慢しなくちゃね
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