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告白から2…月影
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僕の家まで、手を繋いだまま連れて帰りたい。そう思って何が悪い。
「…いいけど」
特に答えも期待してなかったし、冗談として誤魔化すつもりだった。
いいって…王様はバカなの?いや、バカだけど。僕は何も言わず自分の帰宅ルートに彼を引き連れる。彼も特に何も言わず、手も振り解かず僕の横で並んでいる。
こんな雰囲気になるなら言い合いでもしていた方が気が楽だと思いながら再度手をきつく握りしめた。
家に着くとさすがに緊張するのか、手を離して服の端を掴んできた。それ逆効果だって事わかってやってんの?どうせ無自覚だ。
「今日親いないから、緊張しなくても」
「そういうのじゃ…ねぇし」
それから自分の部屋に入れて。好きな人が部屋にいるのって何か落ち着かない。変な感じ。
「影山、こっち座りなよ」
恋人同士になってから王様と呼ぶのをやめた。恋人同士になってから彼の事をよく見るようになった。彼の事を理解しようと努力した。
どうしてこんなに自分は必死なのだろうかと、もう彼を手に入れたのにと。
どうしてこんなに焦っているのだろうか、自分の腕の中にいるのは紛れもない彼なのに。
僕が指示したのは、僕の隣。
部屋に入って落ち着かないと言うかのように立ちっぱなしだった彼の腕を引く。
バランスを崩したらしい彼が僕にしがみついてきて、悪いと零した。もうこれでいいんじゃないかと思う。僕の膝の上でいいんじゃないの、とか自分は重症だ。
しかししがみついた手を離さない彼は、一体どういうつもりで。雰囲気が変わったのがわかる。…やめてよ。
「影山、」
放して、と言おうとしてその言葉は言えなかった。俯いたままだった彼はいきなり見上げてきて、その顔が…。
「っ…ん」
その顔が、表情を見せる前に唇がくっついて近すぎてぼやけて。まるで自分の脳内のようだと。息が吸えない中思う。
この意味がわからない状況に僕の頭は確実に混乱している。別に彼からのキスに浮かれているとか。そんなのじゃ、断じてない。
「や、めてよ」
なんとか脳内をフル回転させて絞り出した言葉と共に彼の肩を押す。やっと見えた彼の表情は、赤い顔に目元を潤して物欲しげで。目に毒だ。
目元に溜めたそれが今にも溢れ出しそうで、何があったか知らないけど、僕は彼の背中に腕を回して抱き込んだ。
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