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並木くんは杉原淀が大嫌い
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「そんなに怒らないでよ。俺だって他当たったんだけどなにせ友人が少なくて」
なんとか彼をなだめようと苦笑いしながら話すが、何1つ言葉が聞こえていないかのように反応が変わらない。別に彼の同室者が変な人でないのなら代わってあげたいくらいだが、当事者の都賀屋様に相談もなしに変更するのは失礼であろう。
「じゃあお前もう廊下で寝ろよ。都賀屋様と一晩過ごして間違いでもあったらどうするの?僕たちの都賀屋様が汚れるだろ」
間違いなんてあるわけないだろうと思いつつ、ため息なんてつこうものなら彼の気持ちを逆なでかねないので控える。
「大丈夫だよ。俺は都賀屋様に何の感情も抱いてないし、第一俺は生徒会長様の親衛隊長だよ?首藤くんとの仲を疑われるならまだしもそれ以外の人との仲を疑われるなんて心外だなあ」
すると並木くんは再び目をキッと吊り上げて「そういう愚鈍で無神経なところがイライラするんだよ!」と怒鳴った。
周囲も少し引き気味に見ているしこれはどうしたものか…と思っていると痺れを切らしたのかアッキーが並木の投げた荷物を拾い上げ並木の方へ放った。
「お前いい加減に静かにしろ。駿河さんとこに連行されたいか?」
それまで眼中にもなかったであろうアッキーからの突然の警告に少し驚いた顔を見せた並木は、しかしすぐに既にテンプレと化した吊り目に戻って尚火を吹こうと口を開ける。そこへ焦り顔の保護者が走ってきた。
「ちょ、ストップストップーー!!」
現れた鈴木は並木の肩をグイッと引き寄せながら困ったように叱る。
「ナミちゃん先行くこたぁないでしょ。しかもこんなところで杉原さんに喧嘩ふっかけるなんて何事⁉︎」
「イラっとしたから」
「イラっとしたからって…。ほらもっと周りの迷惑とか考えようよ。しかも都賀屋様と杉原様のことは手出し無用ってことになっとるでしょーが」
「…僕は納得いってないし………」
鈴木が正論で諌めるため並木は先ほどの気丈さを失い、バツが悪そうに言い訳を始める。この2人は本当にエンジンとブレーキの関係で見ていて少し面白い。俺とアッキーの場合はお互いにブレーキの役割で生きてきた人種だが、割と俺がトラブルに巻き込まれるような役職であり反対にアッキーはトラブルを抑制する役職であることからどちらかというとアッキーがブレーキになることが多い。楠木が入ってくると彼1人が俺とアッキーのブレーキでギリ止まるか止まらないかの馬力を持っているので波乱しかない。
「杉原様すみません。ナミちゃん、いつもは普通の常識人なんですが都賀屋様と杉原様のことになると沸点が低くなるみたいで」
笑いながら謝る鈴木はチャラいイメージとは違ってわりと真面目に思える。並木は謝るつもりがないのか顔を逸らしているし別に俺も謝ってもらおうとは思わない。実際、他所属の親衛隊員に親衛対象奪われたら憎らしくもなるのだろうし、今回のペアリングでの非は俺にもあるからだ。
「いやいや、別にいいですよ。俺にも非はあるし。下心がないことだけわかってもらえれば」
そう言うと「そんなの当然だろバーカ」と小さい声で並木が言ったのが微かに聞こえた。鈴木は「こら」と諌めたがフイっと顔を逸らして反省の色はない。
「ま、そろそろ整列も終わりそうだし終わりにしよう」
そう言って締めくくると鈴木が「ありがとうございます」と一礼して並木を引きずり自分のクラスの場所へ帰って行った。
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