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船の中で1
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船内での過ごし方について軽く説明があったあとは自由行動となった。一応、10人づつが雑魚寝できるほどの広さの部屋をクラスごとに4〜5部屋ずつ程与えられており、そこがそれぞれの定位置ではあるのだが、船内には食堂や広めのロビーなんかもあり、甲板にも上がれるためほとんど自由行動だった。
アッキーと俺は食堂で担々麺を食べることにした。生徒会役員は役員用の大部屋を与えられており、騒ぎにならないようにそこへ引きこもるようだ。先ほど親衛隊長らしく気を使って役員用の部屋の付近で首藤くんを呼び止め、何かご飯でも持ってこようかと尋ねてはおいたが何もいらないとのことだったので俺は完全にフリーだ。
「そういや鬼ごっこのルール、メールで一斉送信されてたな」
食堂の坦々麺はその真っ赤な見た目に反してそれほど辛くなく、2人して落胆した後だった。しかし味そのものはとても美味しい。
麺を飲むように食べ、さっさと終わらせてしまったアッキーがふとそんなことを呟いた。
島についたら恒例の鬼ごっこが待っている。年ごとにルールが少しずつ違うのだが、今年もあのくだらない親睦会が始まるのかと思うと少し肩が重い気がしてくる。
「それ見てないな。どんな感じだった?」
「んー、俺もあんまじっくりとは見てない。まぁ去年と違うとこつったら逃げる側が多くなってることくらい。生徒会役員プラス人気者集めましたみたいなメンバーだったな」
「へー…。それ、生徒会役員が楽したかっただけなのでは…」
「それはあるだろうな。生徒会以外では30人くらいは逃げる側だった。ざっと見た感じ親衛隊持ちなんかの綺麗どころ選んだって感じだったしまぁお前も逃げる側だろ」
「うへぇ…まじかあ」
気の抜けない追われる側だと知って俺はオーバーリアクション気味に机に伏せた。
気になったのでスマホを取り出してメール内容を確認する。
「んん!?」
逃げる生徒の名簿を確認するため一度スクロールしてみたがそこには自分の名前が無い。見落としたのだろうかともう一往復してみるがやはりない。
「アッキー、俺名前無くね?」
「え?まじ?」
少し驚いた様子のアッキーがポケットからスマホを取り出して確認し始める。
「あー…ねぇわ。こんだけのメンバーの中お前いないなんて変だな」
「しかもさ、今回の景品、恒例の『捕まえた人に対して何でも命令できる権利』じゃなくて、『望みを何でも1つ叶えられる(実現可能なものに限り)』って書いてる」
「…………」
「幅広い層への参加意欲高めようとしてるってことかね?」
「…なるほど。思い切ったことするな。借金返済の肩代わりとか頼めんのかな?」
「アッキー借金あんの?」
「ない」
じゃあなんでそんな案思いついたんだ…。
「ちょっと面白くなるかもな?」
そう言って僅かにニヤッとした顔をしたアッキーだが、彼は風紀委員なので鬼ごっこ中は見回りで忙しい。普段から強姦や制裁なんかがごく稀に起こるクソみたいな学校だが、イベント事になるとその傾向は一層強くなる。お祭り騒ぎに乗じて影でコソコソ動こうって輩が出てくるのだ。そのせいで風紀委員はまともに行事に参加できないことが多い。
「アッキー風紀だから参加できないよね。可哀想に」
「そうなんだよな。今のうちに借金作っとこうと思ったのに」
「ははっ!怖すぎだろ!」
そんな戯言を言い合ううちに俺の担々麺も無くなっており、こちらを伺い聞き耳をたてる集団の中から早々におさらばしようと立ち上がった。
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