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都賀屋親衛隊
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腹をくくることにした俺は手始めに書記親衛隊長である東條くんのもとを訪ねた。
止むを得ず都賀屋サマとペアになること、下心はないことを申告の後、許可を得るためだ。
東条君とは、ゆるっとした人である。
ゆるっとしたと言っても生徒会の会計のように軽い感じなのではなく、癒し系なのである。
彼は自分に厳しく人に優しくを体現した人であり、仕事は完璧にこなすし人のことをめちゃくちゃ気遣うし誰かが困ったことになるとそれを止められなかった自分を責める。
だから他人にもそこまで要求するのかと思いきや、「いいよいいよ~」「適当にやっといて~」などと言いつつそれでうまくできてない部分は自分が補う、そんな人間。
新歓で都賀屋サマとペアになりましたと報告しに東条君のクラスに向かっているのだが、彼はどんな反応をするだろうか。
他のことみたいに「いいよいいよ~」ではさすがに済まされないだろうな。
怒るのか?でも怒るとどんな感じになるのかはめちゃくちゃ気になる。
そんなことを考えつつ廊下を歩いているとすぐに目的地にたどり着いた。
ちらっと中を伺うとこちらに気づいた数名がザワザワし始めた。それによってこっちを向いた1番近くの背の低い男子生徒が眼を吊り上げて歩み寄ってきた。あぁ元から大分つり目ではある。
「杉原なに?」
彼は俺のことを快く思っていないようだ。
「あー、東条君に用があってきたんだけど」
「は?東条?」
彼は口に手を当てしばらく考え込むそぶりを見せた。
「………あぁ、なるほどね。お前、新歓で都賀屋様と組むつもりだろ。」
あれ、なんでわかったんだろう。こいつすげぇな。
「で、優しい東条につけいって反感を買わないよう事前説明をと?」
「そんな感じかな。すごいね、なんでわかったの?」
「残念ながら、あの甘ちゃんは体調不良で昨日から欠席してるよ。周りがお前と都賀屋様との関係を受容していようと僕は違うからな。そんなの絶対に嫌だ」
うーん、俺と都賀屋サマとの関係……?
こいつ、だいぶおかしな勘違いしてないか?
「ちょっと待ってちょっと待って!都賀屋サマとは最近話し始めたばかりだし第一俺は会長様の親衛隊よ?都賀屋サマとの関係って、そんな大した関係を結んだ覚えはないよ」
苦笑いしながら俺は違う違うと手を振った。すると彼は更に眼を吊り上げて顔を真っ赤にした。
「そんなことわかってるさ!都賀屋様の一方通こウブブッ」
「はいはいそこまでー!」
彼が話してる途中で現れ、いきなり口を塞いで腰を折ったのは柔和な顔をした赤いメガネの男だった。
「杉原様申し訳ありません。コイツはちょっと都賀屋様ラブすぎて誰彼構わず噛みついちゃうんですよね~。あ、自己紹介自己紹介!コイツも俺も、都賀屋様親衛隊副隊長で俺が鈴木吉弥、コイツが並木海斗。ヨッシーとナミちゃんって呼んで!」
「あ、あぁ。俺は」
「杉原淀様だよね。イッケメンだなぁ」
「あ、ありがとう」
真正面からイケメンだなんて言われることも少ないので少し困ったがにこっとしておいた。これで大体は何とかなる。
「で、ついに都賀屋様とペア組むことになったんだって?今夜は都賀屋様と飲みだな!」
「飲み?」
「いやいやこっちの話!」
飲みってつまりはそういうことか?アルコール…?
「事前説明の件、引き受けるよ」
唐突に本題に戻されたので驚いたが、引き受けてくれるなら万事オーケーだ。
とりあえず胸をなでおろす。
「君は他で組もうとしたがなかなかうまくいかず、都賀屋サマが半ば強引に押し切った形でペアを生成。成り行きは大体こんな感じかな」
すごい…。大体そんな感じだ。
「あ、あぁ。でも都賀屋様が強引にってのはちょっとニュアンスが違うというか。いつまでたってもペアが組めない俺に気遣ってくれた感じで」
「んー、わかったわかった。まぁうまく言っとくね!」
「鈴木…!いいか杉原!俺は新歓の日絶対にお前と都賀屋様との邪魔をしてやる」
「はいはい、ナミちゃんは落ち着いて」
「ナミちゃんはやめろ」
「とにかくそういうことで!」
鈴木がそう無理やり話を終わらせてくれたおかげで俺はようやく帰ることができる。
頭を下げて礼を言って、未だギャアギャアと言い合う鈴木と並木を傍目に帰路に着いた。
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