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包み込んで温めて
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社会人×高校生
(腹痛)
ぐるりという動きに目が覚めた
上にかけた布団の隙間から風が入って身体を冷やす
いつの間にこんなに冷えるようになったのか
少し距離を置いて同じ布団に眠る彼に近寄って布団の隙間を埋めるように身体に巻き付ければ少しの温かさを感じる
きゅうと音を出しそうなお腹をさすりと一回のの字を描くようにさすれば
ぱちりと開いた目を再び閉じる
まだ、大丈夫
そう思いながら眠りにつこうとするが
目覚めたのは目だけじゃなかった
おはようと言わんばかりに
お腹が活発に動き始める
「……!?……っう……」
腸が縮んだような動きに驚いて
ぐっと背を丸めると
その動きに気付いた彼が目を覚ます
「どうした??」
まだ寝ぼけた目の彼は
俺の状態に気付いてなくて
「なんでも、ない、よ。」
と笑って返せば
彼は「そう??」なんて不思議そうに応えて
「寒い、ね」って俺を抱く
彼と触れて温かさを感じる
その温かさにお腹の違和感が一瞬緩む
そう、一瞬……
うと、と閉じようとする目が下につく前に痛みが走る
外側は温かいのに内側が一向に温まらない
ぐるりぐるりとお腹が掻き回されるような感覚に
腸が捻じられるような感覚
痛い……
身体は寒いと感じているのに
じわりと額に汗がふく
痛い、痛い、痛い
「……っ、ふぅ……」
律動的な痛みに一瞬息が止まる
ぐっと唇を噛み締めて
ぎゅっと目を閉じる
何これ…何なの……
治まって……
気が付けば彼の名を呼んでいて
彼は情けない俺の声に驚いて目を覚ます
「お腹…痛い……」と絞り出した声で訴えれば
ぽろりと目の端から涙がこぼれ落ちた
「トイレ、行く??」
彼の問い掛けにふるりと首を横に振る
そんな痛みじゃない
そんなので治まるのじゃ、ない
「寒い??」
汗をかいているのにかたかたと震えていた俺
こくんと縦に首を振れば
彼が自分に巻いた布団を剥いで
全てを俺に巻き付ける
温かい、けど、寒い
内側が
内臓に氷を入れられたかのよう
「待ってて」
彼はそう言ってベッドを降りて
戻ってきた時に手には湯たんぽ
それを俺に抱かせて
同時に持ってきたタオルで俺の汗をふく
「寒いの気付かなくてごめん、な。」
彼はそう言って布団ごと俺を抱く
抱いた湯たんぽがじわじわと内側を温めていく
布団の温かさが
彼の温かさが
やっと俺に届く
きゅっと縮こまった腸がだらりと緩んで
痛みが和らぐ
ほっとした俺は気が付けば眠りへと落ちていた
目覚めた時目の前に彼がいて
その時も彼の温もりに抱きしめられていた
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