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33話
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由木からの電話が何だか変だった
何が言いたかったのかわからず電話を切られた
「…なんやろ」
「陽さん、どうしたんですか?」
隣の席に座ってこちらを見る
「いや、何もないけど…てかなんでここに座ってんの薫」
話しかけて来たのは二つ下の後輩、薫。
「…だめですかぁ♡?」
この甘え上手なとこ、割と嫌いじゃない
薫は多分末っ子
「いや、仕事せぇ」
「はぁい…じゃあ、陽さんと一緒にしてもいいですか?」
「ええよ、ええから真面目にして」
「はぁいっ♡やった、荷物持ってきまぁす♡」
パタパタと走り、言った通り荷物を運んでこっちに来る
「ねぇ陽さん、今更ですけどLINE交換しません?」
そういえば連絡先知らなかったな
「ふるふるってやつ?…こうやっけ?」
設定画面を開き、iPhoneを上下に振る
「あっ来ました♡」
無事に連絡先が伝わったらしい
「薫っと…はい完了」
「ありがとうございます♡…ところで陽さん、この子娘さん?」
陽のアイコンを開き、その画面を見せに来る
そこには満面の笑みで写るあみがポーズを決めている
「そうそう、可愛いやろ愛娘ー」
「めちゃくちゃ可愛いです本当に、芸能界入れますよこの子!!」
「いや言い過ぎやろ、そこまでちゃうよ」
言った矢先、顔が緩む。めちゃくちゃ嬉しい。
やっぱりそうか、あみはデビューする程の可愛さか。
親バカが発動し始めた
「薫、薫。…これは?」
カメラフォルダの中のお気に入りのあみの写真を
薫に一枚一枚じっくり見せる
「わお♡超かわいいです♡」
「ふふ…ほな、これは?」
「やーん♡これもかわいいっ♡」
「…これも見て」
「♡♡♡」
仕事どころではなくなり、二人で盛り上がってしまい
午前中の仕事が午後に詰まってしまった
午後ー
「薫ー、ごめんなー仕事せぇってゆうたの俺やのに…」
「えー?いや、やめて下さいよぉ、言い出したのボクなので…ごめんなさい…」
二人で反省して、その後は黙々と作業に取り掛かった
集中すると、早く仕上がり定時の時間になっていた
「んんー、疲れたぁ…陽さん終わりましたぁ?」
グーっと腕を伸ばし、体をくねらせて
陽の机に近寄っていく
「…ん、あともうちょい…よし終わった」
「お疲れ様です♡…帰ります?」
「せやな、帰ろ」
ガタッと席を立ち、社内を出る
「この後も、お迎えですか?」
「そうやでー、今日いつもよりはよ行けるわ」
ニコニコしながら楽しそうに言う陽の横顔を見つめる
「…本当に、愛してるんですね」
すぐに目を離し、前を向いてそう言った
「愛してるよ、当たり前やろ」
「…そうですね、そりゃ愛しますよね」
並んで歩く、歩幅が合ってるのは
陽さんがわざわざボクの歩幅に合わせてくれてるから
「じゃ、ボクこっちなんで…また明日もよろしくお願いしますっ♡」
最後に自分の中でも目一杯の笑顔で振り返る
「…おー薫、無理すんなよ、また明日」
「……?」
ヒラヒラと手を振り、薫に背を向けて
反対方向に歩いていく
そのままあみのいる保育園へと足を向かわせる
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