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58話
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「尊、次入りなよ」
「あ、もう出た?」
「うん、なんか服持ってくの忘れたからそこにあったバスローブ着た」
「…」
「…なに?」
「バスローブ…いいな、いい感じに似合ってる」
「は?」
何言ってんのこいつ?
その後に尊もシャワーを浴びに浴室へと向かった
「…今何時だろ」
時計を見ると23時30分を過ぎたところ
もうじき終わっちゃうなぁ、誕生日
何気に携帯を開き、何件かLINEがきていた
先輩だったり、後輩、家族からの祝いのLINE
その中でも一番目に入ったのが陽からのLINEだった
なんだ、まだ未練とかあんのかよ
こんな事でも嬉しいと思う自分が憎い
「何見てんの?」
「あっ…尊、いや皆からおめでとうってLINEきてて」
びっくりした
丁度陽のトーク画面を開いてたところだった
「ふーん、良かったね」
「ん…」
腰にバスタオルを巻いて髪を拭きながら
珠妃の隣に座り込んで、頬にキスをする
「んっ…つめた…」
「…ワイン飲む?」
「飲むっ!」
「じゃ、グラス取ってくるわ」
尊が立ち上がると、シャンプーの良い香りが鼻についた
同じシャンプーを使った筈なのに
なんか違う、良い香り…。
「尊ってさ、ジムとか行ってんの?」
さっきから気になっていた
「んー?なんで?」
筋肉凄いし…シックスパック、もしっかりついてる
脱いだら凄いってこの事だよな
「なんか…マッチョじゃん」
「は?マッチョ?…ぶはッ!!」
「え?何?なんで笑う!?」
「いや、ごめんごめん…ジム行ってるよ、たまちゃんにカッコイイって思われたいからね」
グラスにワインを注ぎながら
そう答えた尊が、もう既にカッコよく見えた
…幻覚かな?
「ふーん、なんか女にもモテそうだね。あんた」
「…モテるよ、割とね?」
「…(…む。)」
イラッとした、多分顔に出てる
自分で話を振っときながらそれはダメだとは思うけど
あまりに自信ありげに言うもんだから
ちょっと言い返したい
「何それ?ムカつく、じゃあ何?一応たてまえでは俺のためにって言ってるけど女にモテるからってのもある訳?はぁ?」
「何言ってんの?」
「いやこっちのセリフだわ…!」
中々理不尽な事を言い放った
自分でも分かる、でもなんかムカついた
「…たまちゃん今日でいくつ?」
サラッと話を変えて、空気を変えようとする
「……………………さ、31」
31にもなってこんなガキみたいな事、言うんじゃなかった。大人げない…。
「31歳かぁ、若いねー。じゃ、31歳の年にカンパーイ」
カラン、とグラスが音を奏でる
ゴクと喉を鳴らし一口呑む
「…うまい」
「でしょー?たまちゃん好みのワイン探したんだ」
「…ふーん」
また始まった
嬉しいのに、幸せなのに、また言ってない…
「…尊」
「んー?何ー?」
「色々、ありがと…嬉しかった…」
「…ふふ、どういたしまして。喜んでもらえてよかった」
尊を見ると、尊もこっちを見ていて
どっちからともなくキスをした
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