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小学6年生。3 side.樹
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ゴールすると、係の人から朝礼台に立つ先生の元へとお題の紙が渡り、その内容と判定が順番にアナウンスされる。
判定の仕方は、○かX。大きく書かれた札のどちらかが挙げられる。
お題によっては、観客の反応を見て決める場合もあるようだ。
そして、いよいよ俺たちの番が来た。
僅かに、握られていた手に力が込められる。
「次のお題は……おっ!なんとっ!結婚したい人です!!」
その言葉に、会場は一気に盛り上がりを見せた。
…...って、はぁ!?結婚!?
隣を見れば、坂井は顔を真っ赤にして固く目を瞑っていた。
......まじかよ。そういうこと……
「ちょっと、美樹!よくやったね!」
「これやばいよ~!!」
「お前らマジなのっ!?」
次々と、遠慮なしに言葉が飛び交う中、出された判定は、○でもなくXでもない。
赤いハートマークだった。
……なんで、そんなのがあるんだよ。
それを見て、周りの歓声はまた一段と増した。そして、いつの間にか他学年も加えて、俺たちを囲いながら騒ぎだす始末に思わず舌打ちをした。
煩いな……
こういう冷やかしは好きじゃないし、好き勝手言われるのもムカつく。
こんなことなら、ちゃんと聞けばよかった……
今更、後悔しても仕方ないと分かっていても、今の状況を考えると、そう思わずにはいられない。
そしてさっきから、ちらちらと頬を染めて俺の様子を伺ってくる坂井。
けど、俺は気づかないふり。
「はい、そこまで!まだ競技は続いています。自分の席に戻って、しっかり応援してください」
先生のその言葉で、やっと周りが退き始め、俺も握られていた手を離し、その場を離れようとした。
すると、坂井の手がまた俺を捉えた。
「あのっ!樹くん!!」
「…なに?」
「お昼時間の時、ちょっとだけ二人でお話ししたりって、できる?」
「……あぁー、うん………いいよ」
……二人...話。それが何を示しているのか、なんとなく分かる。それならそうと、早く終わらせようと了承した。
終わったら、世那と一緒にアイスでも食べよう。誘うのはこれからだけど……
そんな風に思っているとは知らず、坂井は、ありがとうと嬉しそうに笑っていた。
俺は大きな溜め息をついて、今度こそ、その場を離れた。
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