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小学6年生。3 side.樹
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結局、世那のお題がなんだったのか分からないまま、競技は終わってしまった。
最後に見えたのは、世那と世那のお姉さんが手を繋いでいる姿だった。
それも全部、俺がグラウンドから出た後にクラスの奴らに捕まってしまったからだけど。
...っ、本当に最悪。
世那に応援するとか言っておいて結局できなかったし、その上訳のわからないことに巻き込まれるし。
俺が何を言っても聞く耳を持たずに、挙句、自分たちの都合のいいように解釈して話を盛るこいつらに、流石にキレそうになった。
けど、その手前で退場してきた坂井に周りが目をつけ、その怒りも不発に終わってしまった。
「はぁ……」
どうせ今戻っても煩いだろうし、今は誰と話してもその話題になる気がして、俺は、一人になれる所を求めて歩きだした。
ーーーーーー
しばらくして自分の団に戻ると、世那と満島が親密そうに話し込んでいた。
案の定、他の奴らがまた何か話しかけてきたけど、そんなもの耳にも入らない。
そんなことより、俺は二人の様子に気が気じゃなかった。
話す距離は近いし、手も握っている……
世那の表情は、ここからじゃ見えないけど、満島は普段のチャラけた感じがない。
「…世那」
「……っ、なに?」
呼んだ声は思いの外小さかったけど、それでも世那は反応してくれた。
でも振り返った顔は、見るからに元気のない力弱い笑顔で、いつもの世那じゃないことはすぐに分かった。
「…どうしたの?」
「……っ」
「お前がそれ言うかよ……世那、行こうぜ」
「…ん」
満島が、庇うようにして世那の肩を抱く。
世那も世那で、満島の服の袖を縋るようにして握っていた。
寄り添うようにして背を向ける二人に、心臓が嫌な音を立てた。
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