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兄貴の提案。
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次の日、いうもより早く目が覚めた。下に下りていくと、珍しく兄貴が起きている。
「おはよう、兄貴。珍しいね」
「あぁ、まあな。……光輔、体調は?」
「大丈夫だって。昨日から元気だったろ」
顔を洗ってから、トースターでパンを焼いただけの朝食を食べる。父さんと母さんが共働きだから平日うちはいつもこうなんだけど、今朝は兄貴が目玉焼きを作ってくれた。
「光輔、おまえ、何かあったら言えよ?」
朝食を食べながら、唐突に兄貴が言った。何のことかと思って兄貴を見ると、真面目な面持ちで俺を見ていた。
そして、びっくりすることを言う。「松永のこと、今、嫌なんじゃねーの?」と。
「……よく、わかったね」
「一応十六年おまえの兄貴やってるからな。わかるよ、それくらい」
何のこともないように言われるけど、内心俺はどきどきしていた。兄貴に、アキくんへの恋心がバレているんじゃないかって。
でも、兄貴はそんなことを一言も言わなかった。それどころか、こんなことを言った。
「何かしてほしいことない?」
「何かって……何?」
「そうだな……例えば、松永に光輔は用事があるから先に学校行ったって伝えるとか」
そう言われて思い出した。アキくん、確かそんなこと言ってたな……。だけど、今はアキくんと顔を合わせたくなかった。何も思われていないとわかっているのにーーわかっているのに、それでも辛いから。
結局、兄貴の提案におれは頷いた。
「それ、お願いします」
「りょーかい」
兄貴は満足そうに笑うと、俺の頭を優しく撫でてくれた。
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