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バレンタイン 番外編
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ー4年前ー
バレンタイン。俺はこのイベントが1番嫌いだ
大して話してもない、そこまで仲がいいわけでもない女子達が俺のことを好きだと言ってチョコを渡してくる
それだけでもうんざりしているのに、普段遠巻きに俺を見ていた女子達も今日に限っては赤い顔で近づいてきてチョコを渡してくる
俺は勿論その気は無いので受け取ることなく断る。すると、自分にそれなりに自信がある大体の女子達はこう言う。「私に優しい笑顔を向けたのは何だったの?姫綺くんは一体誰が好きなの?」って…
いやいや、誰もそんな顔してないし。つーか、俺の外見しか見てない…いや、見えてないお前らにそんなことする訳ないから
それに加え、この一連の流れを見ている男どもや噂で聞いた奴らが俺の事を僻んで目の敵にする。んで、このイベントを境に俺の周りから更に人が離れて行く
これが俺が小学4年生の時から徐々に始まり、今や毎年の恒例。今年でもう7年目だし、いい加減慣れてきた
普通の高2の男子だったら嬉しいんだろうけど…俺にはさっぱりだ
?「いやー、今年も大変だねー」
あ…この馬鹿みたいな話し方…
綾「いたのか、蒼」
蒼「うん、いたよー」
気配…全く感じなかったな
蒼「それにしても今の子で何人目ー?
朝から今のお昼までの間に幾つのチョコを
差し出されたのさー?」
綾「知らね」
蒼「わー、酷いねー」
めっちゃ棒読み…こいつ、本当に酷いと思ってないだろ…
綾「別に酷くないだろ。所詮俺の見てくれだけにしか
興味無いんだろうからさ」
蒼「まぁ、綾瑠は目立つからねー」
だから、早く帰ろー?と綾瑠の鞄を差し出した。綾瑠も呼び出された空き教室になど用はないので、鞄を受け取り蒼と下駄箱に向かった
綾「そういえば、お前はなんで俺のそばにいるんだ?」
蒼「何ー?急にどーしたのさー?」
綾「いや、特に理由はないけど気になったからさ」
蒼「ふーん。僕も特に理由はないよー
気心知れてるって言うのかなー?ただ、綾瑠と
一緒にいると楽なんだもーん」
そう言うと蒼は口を大きく開け欠伸をした
綾「へぇー」
蒼「あー。信用してないでしょー?」
綾「さあな」
蒼「嘘。綾瑠は信用してない人に自分の事を
話したりするはずないよー」
綾「分かってんなら聞くな」
蒼「いいじゃーん。幼馴染でしょー?」
綾「腐れ縁だ」
蒼「どっちも一緒じゃーん」
綾「そうか」
蒼「でー?本当は何を聞きたいのさー?」
蒼は隣を歩く綾瑠の前に回り込んだ
綾「何が?」
蒼「綾瑠が急に特に理由もないことを聞く時は
何か聞きたいことがある時に出る癖だからねー
今回も何かあるのかなーってさ」
蒼はニタニタと笑いながら綾瑠を見る。綾瑠はそれを見てフイッと顔を逸らした
綾「適当なことを言うな」
蒼「適当か本当かは綾瑠が1番分かってるはずだよ」
綾瑠は驚きバッと蒼に向けた
蒼「…なーんてねっ
じゃあ僕、今日は用があるから此処でバイバイねー」
綾「あ、ああ…」
動揺した綾瑠は、いつの間にか手を振る蒼に手を振り返していた。そして蒼が角を曲がり姿が見えなくなった時、綾瑠はポツリと呟いた
綾「さっきの蒼は一体…」
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