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7.ほら、こっちきて。
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「友希っ!」
「ちょっと、中村なんでここ…」
「仕事!」
「へ?」
「仕事できてんっ!」
まるで用意されていたかのような答えに噴出しそうになりながら、その小さな頭にぐいと帽子を被せてサングラスを無理矢理掛けさせてから、腕をひっぱって物陰に連れて行く。驚いた顔してんけど、それはこっちやでほんまに。
「中村、頼むから自分めっちゃ目立つってこと自覚してや」
「え?なん?」
「もー。…ま、ええわ。で?仕事って言うてへんかったやん、それに、沖縄なんて暑いから嫌やっていつも断ってたやろ?」
「たまには気分転換にええかなって思って。それに友希も沖縄おるし」
こいつ、本音でたな。そんなに一人で飯食うのが嫌か。子供か。
でもまあ、そう言われて何故か悪い気はしいひんし、ここで怒ってもしゃあないから、
「そうなんや。でもここでは俺、飯作らんで」
「わかってるって」
「そ、ならええけど。あ、諒おいてきた」
「え、諒ちゃんやっぱり一緒なん?」
「うん、一緒やし一緒の部屋やし、今やってコーヒー飲もかー言うてたまたま降りてきてん。すごい偶然やったわ」
まだざわついているフロントを気にしてると、諒がゆっくりと姿を現した。
うわー、なんかしらんけどめっちゃ怒ってる。ほったらかしたのがそんなに気に喰わんかったんかねぇ。
「あ、諒ごめん…」
「中村、なんで自分こんなとこおんねん」
「仕事」
「はぁ?聞こえん」
「仕事で来てるんですー」
俺の腕を気持ち引っ張りながら(怖いん?)口を尖らせるようにそう言った。あ、でもそれって諒多分、
「ガキみたいな言葉遣いすんなやっ」
ほら、キライ。
もー、沖縄まできて仲悪いの(普段からなんか喧嘩腰の二人やねん)嫌やから、割って入って俺が仲裁。めんどくさ。
諒が反対の俺の腕を掴んで中村から引き剥がそうとする。ほんま二人とも子供やねんから。
「だいたい、自分がこんなとこ来たら大騒ぎなってホテル迷惑やっちゅうねん」
「別に諒ちゃんに迷惑掛けてへんし」
「かっちーん」
「もーっ二人ともええかげんにして!諒、中村相手にキレてどうすんの、中村も諒につっかかっていかない!」
「友希、ごめんっ!怒らんで!」
「…ごめん」
「わかればよろしい」
結局素直な二人はとりあえず俺の言うことを聞くことにしたらしい。とりあえずもうカフェには行けないってことやから、
「部屋、もどろか?」
中村がもろ嬉しそうにうんうんと頷いた。諒がちって舌打したのは聞かなかったことにしよ。
部屋に戻ったら鈴木さんに電話いれとこ。どうせ戻りの時間は聞いてもどこに行けばええかとか、聞いてへんのやろ。
もう一度ぐいと目深に帽子を被らせてから、従業員用のエレベーターを見つけて部屋に上がった。
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