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23.そして君は帰ってくる。
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「ただいまー、友希ぃ」
小一時間もすると、大きな中村が体を屈めて入って来た。え?どうしたん?体の調子でも悪い??
エプロンを外しながらリビングに入るとソファにぐったりと寝そべった中村が天井を仰いでる。
「中村?大丈夫?」
「友希ぃ~・・・」
「珍しいやんか。そんなんなるの」
「社長が、社長が・・・」
「どうしたん?」
社長って、上坂さんやんな。珠に蟹やらウニやら突然送ってきていつもビビらされる人。鈴木さんにどうしたらいいか相談したら「ええ、ええ。貰ってもろてええですか?」って逆に頭下げられたから、それからはその食材は中村と俺の腹の中に収まるようになった。(大概が中村の胃やけどな)
で、その社長が?
「お前、沖縄で遊んで来たようなもんやから、しっかり働いて貰うからな。とか言って、こないだの沖縄の取材数を遙かに越える出版社用意してやがったんや!」
「へー。いくつ?」
「じゅう!!!殺す気か!」
「それはまた・・・」
本気で殺すつもりなんじゃ。
「え、でも、早かったやん。ちゃんと終わったん?」
「・・・鈴木さんが、「早く帰りたかったら巻きで終わらせろ」って朝一言うし、絶対終わるまで帰らせんオーラ丸出しやったから、死ぬ気で終わらせたん」
「そんな、メールかなんかしてくれたら・・・」
「いやなの。僕がいやなの。今日は絶対友希とうちでご飯食べたかったんやもん」
そういってごろんとうつ伏せになりもう一度「あー疲れた」呟いた。
ほんまに犬みたい。
その時、ぐううう。鳴りました、鳴りましたよ。中村君のお腹の虫が。
「あは、中村、ごはんにしよ。ちょうど鍋も用意できたんよ」
「やったー!なべー!」
「南国料理もええけど、疲れた体にはやっぱりお鍋やね」
ぴょこんと飛び上がってテーブルの前に座った中村が両手を上げて喜んでる。ほんまに花より団子。手を洗って来るように言うとひょこひょこと洗面所に消えて行った。
キッチンからカセットコンロと鍋とお皿とお箸。さ、準備万端。
「おなかすいたー」
「はよ食べよ」
「うんっ」
いただきますをして、二人で鍋に箸をつけた。
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