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40.ずっとあなたが好きでした。
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リビングで雑誌見ながら寝転がってたら、お尻をつんと蹴られる。
「なかむらー、出来たで。テーブル片してー」
「やたっ!もうできたん?さっすが友希~vvv」
「はいはい、お腹空いてんやろ?でも、中村が野菜半分くらい用意してくれてたから助かったんよ」
「友希~っ」
ほんま優しさの塊やん。なんでこんな人おるんやろってくらい優しさの塊やと思うねん。鈴木さんも言うてたし、社長も言うてた、そういえば。あの人見る目あるやん。ちょっとムカついてから、テーブルを片付けてランチョンマットを敷く。僕はあんまり気にせえへんのやけど、友希はこういうのめっちゃ好きで色々買ってくるから、最近は僕も可愛いの見つけたらお土産に買うようにしてん。今日は友希の好きな色のうすーいブルー。海をイメージしたデザインなんやって。
僕の好きなチキンカレー。手羽元が入ってるからめちゃ豪華に見えるし美味しい。結局友希が作ったんやけど。
「今日中村休みやったん?掃除とかご飯作るとか」
「うん、最近休みなかってんもん、人間たまには体休めんともたんわ!って社長に言うて休みもろた」
「よかったなー、じゃあゆっくりしとけばよかったのに。掃除とかさせて、悪かったな」
「そんなことないって、いつも友希がしてくれてるやん?たまには僕もせんと」
いただきますをして、そんな話をして、夜が更けて行く。相変わらずの美味さを誇る友希の手料理に舌鼓を打ちながらワインに口を付けた。友希も呑む?ってグラスを持ってきたら「うん」って手を伸ばす。その白い腕にすら眩暈を覚える僕はもう末期症状だ。
ご飯を食べていつものように僕がコーヒーを淹れる。マグカップを手にしてテレビを見てる友希に近づくと、ふと振り返られた。
「あ、今日は俺がするからよかったのに」
「なんで?」
「やって、今日は中村がご飯つくってくれたやん?せやから」
「友希、優しすぎやろほんまに」
「そんなことないでー?俺やって怒るときは怒るし」
「いや、見たことないし」
そやっけ?といいながらコーヒーをすすり「この人ほんま笑えるー」ってテレビを指差した。
早く。早く。ほんまに今日言わんやったら、僕は一生この人に想いを告げることができひん気がする。焦りながら友希の横顔をみると大きな欠伸をした。眠いん?
「今日めっちゃ根つめて描いたからかなー、なんかもう眠い」
「え、あ、そうなん?ほな、お風呂入ってはよ寝らんと」
「そやねぇ。あ、中村も明日早いんやろ?あんまり遅くまで起きとったら顔浮腫んで鈴木さんに怒られんで」
コーヒーをぐいと飲み干して立ちあがり、そのまま風呂場に向かうと間もなくしてシャワーの音が聞こえてきた。僕の心臓は相変わらずどきどきしていて、友希に聞こえませんように、それだけをずっと思ってた。
でも、どうする?友希に拒絶されたら。ふと考えた。いや、大いに有り得る、というか普通に考えて友希が僕を受け入れてくれるということのほうが可能性としては低いんやない?そうや、そうやで自分。そしてそうなった時にはもう、友希の横にいることは許されんくなるんやない?それでもええの?
当たり前のことを考えることを忘れていた。というか、きっと無意識に避けてきた。避けて、友希が僕を受け入れてくれるって都合のいいことを前提の告白をしようとしてたんや。
「めっちゃアホやん僕」
頭をがしがしと掻いてソファーに突っ伏した。考えれば考える程わからんくなってくる。
そのとき、
「中村ー、風呂入って帰る?あれ?寝た?」
「あ、起きとる!てか、」
「てか?」
風呂上りの髪の濡れた友希がタオルで拭きながらリビングに入ってくる。そのままキッチンに移動してなんか飲んで、また戻ってきた。
しとしとと雫の垂れる友希の前髪に触れたい。そう思うと同時に僕は行動に移していた。
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