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16歳 春
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「ここか…。」
古びた寮の入り口に少年は到着した。
横屋敷 理久はこの寮のある高校の生徒になる。
入学式を明後日に控えて学生は入寮の手続きに忙しそうだ。
全寮制ではないが、辺鄙な場所にある学校なので男女殆どの生徒が入寮することを余儀無くされる。
だが、そこそこのレベルで有名大学への進学者も、文武両道の精神でスポーツ選手の先輩も多い。
有名人が先輩として輩出されていることから毎年入学希望者は多い。
理久は学校のレベルなどどうでも良かった。
ただ、家を離れたかった。
正確にいうと置いてもらっていた親戚の家だ。
理久の父はカメラマンで海外で殆どを過ごし、日本に帰るのは三年に一度程だ。
母は理久をお腹に残したまま心臓の病で亡くなっているので写真でしか顔を見た事がない。
それからは父の妹の聡子の家に世話になっていたが、彼女が結婚することになった。
「…理久、遠慮しなくていいのよ。一緒に暮らせば…。」
「やだなぁ、俺だって行きたい学校くらい有んの!叔母ちゃんは新婚生活楽しんで!」
笑顔でそう言ってあげたかった。
小さい頃から理久 の世話をして自分のプライベートを犠牲にして来ただろう。
安心してもらえて、家を出れて、でも何かあったら駆けつけられる場所。
それがこの学校だった。
ギリギリの補欠合格だったが入学が決まった時は嬉しいよりホッとした。
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