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16歳 嘘
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「理久、夏休みどうするの?」
誠実の質問にドクン。と心臓がなった。
冷静に冷静に、と言い聞かせてカラカラの唇で答える。
「…お、叔母ちゃん家に顔出さなきゃ行けないんだぁ。きっと夏休みは、叔母ちゃんと一緒だと、思う…よ?」
「…いつからいつまで?」
「…ずーーー…っと?」
「………俺、理久の叔母さんにご挨拶したいんだけど。」
それは困る、嘘がバレてしまうし、叔母にも心配を掛けてしまう。
「…理久、素直に言いなさい。夏休みどうするの。」
誠実は理久よりも理久を把握している。
どうせ隠しても無駄だとわかっていた。
「…ここにいる。」
「じゃあ、俺も。理久と一緒に残る。」
「っダメ!」
理久の間髪入れない返事に誠実が少しイラっとしたのがわかった。
それでもいいから誠実には家に戻って欲しかった。
「…誠実には家族が待ってる家があるだろ…?ちゃんと帰って、親孝行してきて。俺は親孝行出来ないから…。」
理久の母親が亡くなっていることは知っていた。
口を噤んでいると理久は誠実の手を握ってもう一度言った。
「…お願い、誠実。実家に帰って…?」
「………わかった。」
誠実のおでこに理久がチュっと口づけすると誠実が腰を抱く。
「…わかってくれてありがと、誠実。大好き。」
『ちょっとくらい寂しくても、平気………平気だ。』
理久は自分に暗示をかけるように頭の中で繰り返した。
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