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16歳 計画的犯行
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『急に言われても行けないよ。』と理久は拒んだが、誠実にぬかりはなかった。
誠実は理久の外泊届けも事前に申請していて、理久が持参した寮への在留届けを回収していた。
寮長にも手回しをしていて、寮に残っても理久の分の学食も出てこない。
理久の荷物も今朝方まとめて隣のコンビニから自宅に送り終えていた。
つまりが、強制連行だ。
「…誠実、いつから計画してたの…。」
あまりの段取りの良さに抵抗は無駄だとわかり一緒に向かう覚悟を決めた。
誠実の気遣いや、夏休みを一緒に過ごせる事はとにかく嬉しかった。
だが同時に誠実との関係に家族に顔向け出来ない背徳感に襲われる。
「…く、理久。降りるよ?」
上の空で電車から窓の外を見ていると誠実がツンツンと頬をつついた。
荷物と、途中でお土産に買ったケーキの箱を持って駅のホームに降り立つ。
緊張の所為か言葉を忘れたように静かな理久。
誠実は一旦駅のベンチに座ると隣に理久を呼んだ。
理久も腰を掛けると小さく溜息を付く。
「…無理やり連れてきてごめんな。お前にとってストレスだったかもしれないな。
でも、理久の傍にどうしてもいたかった…。」
少し項垂れる誠実の肩に理久がホームに人気がないことを確認すると頭をコツンと凭れさせた。
「…ドキドキしてるだけ…俺も誠実と過ごせて嬉しい…言い遅れてごめんね。誠実、連れてきてくれてありがとう。」
「…大丈夫。理久はいつものままいればいい、守るから。」
男だし守ってもらわなくても平気だ、と言おうと思ったがその言葉は誠実の唇に奪われた。
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