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記憶なんて持ってない
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目が覚めた。 周囲をきょろりと見回せば、自分は見知らぬものに囲まれていた。
ここは一体どこだろうと頭を回してみるものの、自分で思うより長く働きを停止していた脳は答えを与えてはくれなかった。
起きた?という声に顔を向ければそこには美形。しかし見覚えはない。平凡な俺にこんな知り合いはいるとは思えない、というか俺は平凡なのだろうか、それさえもわからない。
だるい体を引きずって鏡までたどり着くとそこにはなんというか、予想通り平凡な顔をした男がうつっていた。 青ざめていていかにも不健康そうな顔である。
自分のことながら他人事のように思っていると、平凡な顔の隣に先ほどの美形な顔がうつり込んできた。
俺を無視するなんて、なんてお前何様だと言いたくなるような台詞を吐き出しながら俺の髪を引っ張り倒した男は俺のことを知っていそうだが、俺に対して良い感情は持っていなさそうだ。
とりあえず皮膚が痛みを訴えている髪を離させようと男を見上げれば頬を一発殴られた。何故だ。
痛みにしかめられた顔のことであろう、お前ごときが睨んでるんじゃねえよという言葉と共にもう一発、今度は腹を蹴られた。 思わず咳き込む俺に男は立場を思い知らせてやる、と腕を掴んでベッドに逆送りされた。
そのままのしかかってきた男に対して未だに蹴られた腹が痛む俺はうずくまりながらも初めて声を発した。
「……あなたは誰ですか。」
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