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プロローグ
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「ねえ、本当に大丈夫なの?」
海沿いの曲がりくねった道を疾走するシルバーのスポーツカーは、高級感溢れる皮張りの内装にもかかわらず、どこか居心地が悪い。
開け放った車窓から容赦なく海風が入り込んでは、ものすごい勢いで二人の間を通り抜けていくからだろうか。
それとも、怒鳴るような大声で話さないといけないからだろうか……。風に乱される前髪も鬱陶しかった。
「いくら高級外車かしれないけど、廃車寸前だったんでしょ? 危なくないの?」
「大丈夫。大丈夫。心配すんなって! ……『腐っても鯛』って言うだろ!」
今日、何度目かの質問に、同じ答えがそっくり返ってくる。
「カズさんに手伝ってもらって、俺が納得いくまでレストアしてあるんだから、心配ないって……」
安全性について何の保証もないのに、この自信はいったいどこからくるのだろう。
そういうところが心配で仕方ないのに、どうして分かってくれないんだ、この男は……。
古河隼人……僕の大切な人。
世界で一番、僕のことを分かってくれる人。
それなのに、僕の気持ちを全然分かっていないニブチン。
「玲は心配性だな」
「隼人が無頓着なだけだよ!」
「大丈夫だって、証明してやるよ!」
そう言うと、隼人はアクセルを踏み込んでスポーツカーを加速させた。
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