アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
色あせた世界
-
赤信号になった横断歩道へ踏み出そうとして、クラクションが鳴らされた。
けたたましい音にハッとして、後ずさる。
すぐに後悔の念に襲われた。どうして、そのままクルマの前に飛び出さなかったのだろうか……。
死にたい、と思う衝動と、いつもぎりぎりのところで闘ってきた。
恐怖心がないわけじゃないし、他人に迷惑をかけることにも気が引ける。
ただ、僕が生かされいていることに理由があるのだとすれば、それは隼人の最後の言葉を知るためだと思う。
隼人が最後になんて言おうとしたのか、胸に突き刺さったままだから、……答えを知るまで、簡単には死なせてくれないのだろう。
昔、僕らが生きているのは鮮やかな色で満ちたすばらしい世界なんだ……と教えてくれた人は、もういない。
一人ぼっちで生きるには、辛すぎるよ。隼人……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 6