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見知らぬ恋人
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信号は赤に変わってしまった。
青に変わるのを待っていると、不意に男の子の声がして、名前を呼ばれた……気がした。
視線をさまよわせていると、「こっち!、こっち!」という呼ぶ声がする。今度は、はっきり聞こえた。
「相変わらず、ぼんやりしてるな」
可愛らしい少年の声に似合わず、その物言いはひどくひねていた。
視線を下げると、私立小学校の制服を着た男の子が立っていた。
この春、小学校に入学したばかりだろうか。
濃紺の制服は定番のスーツで、下はハーフパンツだった。真っ白なシャツに赤いネクタイが映える。
校章の刺繍が入ったハイソックスに、黒の革靴を履いていた。
リボンのついた帽子。背中に背負った横長の黒いランドセル。肩に掛けられた紋章入りのサブバッグ……と、どれも少年の身体には大きくて、真新しかった。
こちらを見上げる様子は、まさに「仁王立ち」という表現がピッタリだ。
それに、なぜだかものすごい形相でこちらを睨んでいる。
「俺が会いに行くまで、なんで待てねぇんだよ!」
男の子が唸るように言い放ったかと思うと、次の瞬間、左脚のすねに鋭い痛みが走った。
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