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純度何%?
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歯がゆい…いや、面映ゆい?
とにかく照れ臭くて、妙に嬉しくて。でもちょっと罰が悪い気もして。
だけど人生がこんなに輝いて見えた事はないんじゃないかと思う。
こんなおじさんに直くんは罪じゃないのか?
そう思うのに、やっぱり嬉しさには敵わなくて、彼に近付いたような、近付いてくれたような、そんな錯覚を覚えた。
動物園の中に入ると人の賑わいはさらに増して、海斗くんは「逸れないようにね」って言いながら空くんと手を繋ぐ。
そのあまりにも自然な親子の輪に、僕も入れてくれないかな。
なんて思って、怖気付く。
怖いなぁ…と心底思う。
好きだから怖くて、踏み出せない。
余裕のある大人のフリをして、自分の不甲斐なさをひた隠す。
君に僕の弱さがバレないように…バレませんように…
「なおくん、きいてる?」
「えっ?ごめん、なんだったかな?」
「イルカどこにいるの?」
「あぁ、イルカはもっと奥だよ。あそこにアーチが見えるでしょ。」
「あーち?」
「うん、お花がいっぱいついてて、山みたいになってるの、見える?」
「うん!みえるー!」
「あのアーチの向こう側が水族館なんだよ。アーチの端にイルカとペンギンの絵があるでしょ。だからあっちに行けば会えるよって事だよ。」
空くんは「じゃあはやくいこー!」って海斗くんをぐいぐい引っ張っていたけど、海斗くんは「えー?順番に見ていこうよー」って空くんに言い聞かせていて、「熊は見たくないの?」って聞いたら「くまもみる!」って、結局順番に見ていく事になった。
そんな空くんを見て海斗くんが笑っている。
「単純だなぁ」って小さく呟いたのは、多分僕にしか聞こえていなかった。
だから僕と目が合うと微笑みながら口元に人差し指を当てて「シー」っとジェスチャーした。
こんな仕草ですら可愛いと思うのは、俺がおかしいのか、彼が必要以上に可愛いのか、どっちなんだ。
どっちも。そう、どっちもそうだ。
僕は彼が好きだし、彼は見目が良い。彼自身、見た目に頓着はないんだろうなと前々から思っていたけど、彼が自分を着飾らなくたって人の目を引いた。
今もまた、誰かが彼を視線で追いかけている。
僕もそうやって、恋に落ちていった。
「ーっなおくん!」
「は、え?」
「またきいてないー!かいくん!なおくんなんかへん!」
「本当にどうかしたんですか?なんかさっきから考え事してるみたいだし…具合が悪いとか…」
心配そうにこちらを見上げる男の子。
目が…僕をとらえていて、その濡れた瞳には僕が映っている。
そんな事にすら喜びを覚える僕は、相当に毒されている。そんな自覚もある。
「…大丈夫だよ。ちょっと考え事をね。大した事じゃないんだ。」
「本当に…?」
「本当に。」
「なおくん まいごになっちゃいそうだね!」
そう言って空くんが僕の手をぎゅっと握った。小さくて、温かくて、生命力に溢れた指が僕を掴む。
「これで まいごに ならないよ! 」
「ねっ!」と海斗くんに確認する空くんはひどく純粋だ。それに「そうだね」と微笑み返す彼もまた。
邪なのは、空くんの温もりから海斗くんの存在を感じている、
僕だ。
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