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好きだからこそ
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縺れ合った赤い糸は、ほどく事もままならない。
「昨日……………………悠斗の家へ行こうとして、慶太さんに会ったんだ…………………」
リビングに涼を上げ、俺は直ぐに冷房を入れながら、責められる覚悟を胸に秘める。
涼、いつから待っていたんだろう。
この暑い日差しの中、涼の首筋には汗が沢山流れてる。
学校、休んだのかな?
俺は、またサボるつもりで隼斗のアパートから帰って来た。
俺……………………涼の事、何も考えてなかったな。
隼斗の事を正直に話して別れようなんて、いざこの場面に直面したら、思うようにはいかないと痛感する。
自分の最低さに、ただただ心が痛み出す。
「……………………慶太から、何か聞いた?」
わかりきった事を。
いつもなら、遠慮なくソファやラグに腰を下ろす涼が、今日は立ったまま。
涼のファンが見たら、マジ俺はろくでなしだな。
「諦めろって……………………」
「…………………え………………」
「悠斗は、ようやく自分の本当の気持ちに、気付いたんだ………………だから、辛いけどもう無理だって」
慶太……………………。
重ね重ね酷い野郎だが、今更ながらに、慶太はやっぱり歳上なんだと感じた。
ちゃんと、見るとこ見てるんだ。
「………………………俺は、諦めたくない」
「涼……………………」
涼は唇を噛み締めて、目を伏せた。
俺のせい。
この2年、自分の気持ちを誤魔化してきた、俺のせいだ。
涼は、ずっと一途に俺を好きでいてくれたのに。
「ごめん、涼……………俺が……」
「聞きたくないっ!!聞きたくないよ!…………俺は、悠斗しか好きになれないっ…………」
「りょ………………」
俺が、隼斗への想いに暴走したように、涼は、俺への気持ちに暴走する。
ガタンッ………………………
俺はいきなり涼に腕を掴まれ、身体を押し倒された。
倒された時、近くのローテーブルへ腕が当たったが、その痛みより、涼の豹変に俺は言葉を失う。
「待っ……………涼………」
「隼斗さんなんか、殺したっていいっ!!」
な…………………。
「お前が好きなのは、隼斗さんだろっ!?わかってたよ、そんな事っ…………………わかってたけど、俺は我慢してきたんだ!!お前を…………悠斗を、渡したくなかったから!!」
横たわる俺の腹に馬乗りになり、涼は涙目で声を張り上げる。
そして、俺の首筋に手をかけ、指先を肌にめり込ませた。
「い…………痛い……………りょ」
「殺してやる………………俺からお前を奪うなら……………俺は、隼斗さんを本気で、殺す……………」
優しくて、人のよい、涼。
いつも何も言わず、俺を愛してくれていたのに。
俺は、そんな涼の優しさを、壊してた。
「失いたくない………………失いたくないよ………悠斗」
崩れるように俺に被さり、身体を抱きしめてくる涼の涙声に、俺はただ、涙を流す事しか出来なかった。
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