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秘められた真実 5
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それから月日も流れ、相変わらずクズな兄貴やってる俺は、もう用済みになった隼の名刺を弟に差し出した。
あの日から、隼との関係は続いてる。
名前も、年齢も、職場も、自宅も、携番も……知り尽くしてしまったから、貰った名刺はやーちゃんにくれてやることにした。友人でもなく、恋人でもなく、セフレかと聞かれればそんなに安いもんじゃないアイツとの遊戯は本当に面白い。
クソが付くほど真面目な男。
その裏で、酒を飲むと口調も態度も何からナニまで全てが変わる二面性を持ち合わせた俺より歳上のお兄さん。
竜崎隼は、魅力的な男だ。
真面目で堅物のあの隼ちゃんが、俺の前ではことごとく乱れていくのが堪らない。素面じゃ拒むくせに、酔わせたら一発で縋ってくる隼ちゃん。
嫌だ、やめろ、と言うくせに。
俺を見るアイツ瞳は、いつだって俺に溺れている。もう恋愛はしないと決めたはずの男が、俺に落ちる瞬間を楽しみたくて、俺は女遊びをやめることもしていない。
女を抱いた後に隼のところにいけば、アイツの瞳は酷く傷つき俺を何より楽しませてくれる。だがしかし、遊びの付き合いを望んだのは隼の方だから。
アイツが自分の口から俺が好きだと告げるまで、俺は偽りの優しさを振りかざして笑うことしか出来ない。この愚かな気持ちが恋とか愛とかいうものなら、そんなまどろっこしい感情なんて俺には必要ないと思った。
ただ、アイツになら。
隼だけなら、この身体に痕を残させてやってもいいかもしれないと思う。いつの日か、アイツだけを抱ける日がくることを願って。
「飛鳥さん、何かいいことあったんっスか?」
そんなことを考えながら、あの日と同じように訪れたBARには、ヘラヘラ笑うクソガキがいる。
「ちょっとな、可愛い弟の相手してきた」
好きなように生きて、夢を追いかけてほしい。
まだ19のやーちゃんなら、俺と同じ轍を踏むことなく生きていけるはずだから。
「飛鳥さんの弟さんってどんな人ッスか?飛鳥さんに似て、すっげぇ遊び人だったりして」
「あー、どうだろうな。やーちゃんは俺より真面目なヤツだから、そうでもねぇと思うけど」
やはり今日も適当にクソガキの話に答えつつ、俺はタバコを咥え火を点けていく。
やーちゃんが隼ちゃんに連絡するかどうかは、あの可愛いクソガキ次第だが。きっとアイツなら、諦めきれない夢を追い求めるだろうと思う。
俺もあんな風に生きてみたかったと。
隼に本音を零したなら、アイツは俺を慰めてくれるだろうか。そんなことを思いながら、俺は今日も名も知らぬ女と一夜限りの不埒な行為に及んでいた。
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