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Kiss me again 2-4
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「……飛鳥、飛鳥ッ!」
「んー」
「今すぐ起きろ、このド変態っ!!あと3分でホテルから出ないと、延長料金だって!!」
「延長?させときゃいいんじゃねぇの……ってか、ド変態って誰に向かって言ってんだよ」
最高に気持ちのいい睡眠を邪魔するなんとも最悪な目覚めに、この男は毎度毎度こんな起こし方しか出来ねぇのかと頭を抱えてしまう。
朝方まで散々ヤリまくり、素面で好き好き連呼する隼ちゃんを抱いたはずの夜は、一体何処へ消えたんだ。
まだ起きない頭でそんなことを考えていると、俺の顔を覗き込んでくる隼ちゃんの姿が目の前にあって。
「飛鳥?」
「……お前、今日すげぇブサイクな顔してんな。俺、こんなヤツ抱いた覚えねぇんだけど」
口ではそう言いつつ、抱き寄せた隼のうなじにキスを落とした俺は、俺より歳上のくせに可愛い男をベッドの中へと引きずり込んでいく。
「じゅーんちゃーん、好き……俺、お前のことすげぇ好き。だからさ、もう1回……って、さすがにムリか」
腫れた瞼と、手首に残る拘束の跡。
身体の至る所に付けられているのは、赤く染まる愛情の印。消えたかと思っていた夜はこの身体に刻まれていて、これが愛おしいという感情なのかと思った。
「無理ですね、どう考えても。今日の飛鳥は、異常に気持ちが悪い……俺、こんな男知らない」
「そりゃ俺も知らねぇよ、なりたくてこうなったワケじゃねぇし」
成り行き任せでここまできて、お互いに傍にいる相手に疑問を覚えるのは如何なものだろう。どんな女とするセックスよりも、1人の男とするセックスの方が気持ち良くて楽しいのは事実だが。
「飛鳥、やっぱり飛鳥はクズの方が似合っていますよ。僕は、今のままの飛鳥が好きですから」
どこで押したか分からない隼の仕事スイッチが勝手に押され、俺から僕に切り替わった隼ちゃんの言葉は面白味を感じない。
「んじゃ、お前はこのまま俺が他の女抱いてても問題ねぇのか?隼ちゃん嫌いだろ、女の香水の匂い」
知ってる。
分かってる。
隼が俺を嫌う理由はそこにあることを、コイツが俺を信用出来ない理由は俺が隼だけを見ねぇから。
「分かっててわざとヤってくるなんて、最低としか言いようがありませんね。嫌いですよ、女の匂いがする飛鳥は……でも、それが飛鳥でしょう?」
やられたと、思った。
つぶらな瞳に、その少し枯れても綺麗な音に。
射抜かれた心は、もうコイツに敵うことはない。
けれど。
「あーそ、んじゃ遠慮なく楽しませてもらおうじゃねぇの。お前は一生そうやって俺を嫌ってろ、もう二度と恋なんてすんな」
「言われなくても、そのつもりですよ」
強がりか、本心か。
切なそうに目を細めて笑う隼は、そう言って俺の腕の中に収まってきて。伸ばされた手は俺の首筋に行き着き、そこに隼の柔らかな唇が触れる。
「飛鳥」
今までに感じたことのないチクリとした痛みが走り、ソレが何を意味するのか理解した俺はただ笑うしかなかった。
ヘタクソでも、なんでもいい。
お前が俺を求めるのなら、その手は掴んで離さないから。だから、どうか俺を信じて。
初めて、俺の身体に痕を残したその唇で。
これからも、愛を隠したキスをして。
fin
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