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ホントとウソ (Y side)
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怯えかたが尋常じゃない。
「なんでそんなに怯えてんの」
「昔開けたときクソ痛かったから」
「開けかたヘタクソだったんじゃねぇの」
「俺が開けたんじゃないし」
……誰が。
「誰が開けたの」
自分ではない、誰に開けさせたのか。
「………兄さん」
長い間を開けるものだから、少し身構えたが案外普通の答え。
兄になら、しょうがない気がする。
兄貴の命令は絶対なんだ、といつかの友人が言っていた気がする。
「仲、いいんだ」
「……うん」
家族構成も聞いたことがなかった。
知らなさすぎだろ、俺。
後で聞こう。
「痛くしない努力はする」
「オネガイシマス…」
消え入るような語尾。
こりゃあ相当なトラウマなんだろうな。
「いくぞ」
「わざわざ言わないでよ!身構えたら余計痛いでしょ!」
「……」
「佐上くん…佐上く、ひ……」
針が耳朶に触れると恐怖からか短い悲鳴がでる。
「獅童、他に兄弟いんの」
「今聞く!?え、えと、二人の兄さんと、姉さんと、おとうt
言い切る前に針を刺す。
「うぁ!?……今、今刺すの……???」
「痛くはなかっただろ」
針を抜きすぐに消毒する。
獅童さんはきゃあきゃあずっと騒いでいたが、ガン無視。
「ほら」
血が止まった後、獅童さんにピアスを渡す。
「?…灰色じゃないの?」
俺が獅童さんに手渡したのは蜂蜜色の方。
渡してしまったものの理由はない。
何となく…灰色よりは映えるだろうと思っただけ。
本当にただ、何となく。
「……俺のマネージャーなんだし、印みたいな?」
苦し紛れの言い訳、バレないだろうか。
案外獅童さんはさらっとそう、と言って鏡のある洗面所へ向かった。
…ってなんで俺はバレないかドキドキしてるんだ。
バレるってなんだよバレるって。
……………………。
……わかってんだよ心の中では。
独占欲がわいて、手渡してしまったこと。
さらっとつけようとしてくれたことが、この上なく嬉しいこと。
初めて俺が塗り替えた彼の「ピアス」。
気持ち悪いなんて死ぬほどわかってる。
こんなに女々しいって知ったら、世間のファンはきっと幻滅する。
それでもいいと思えるくらいに、俺は獅童さんに惚れてるんだ。
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