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討ち入り覚悟3 SIDE Right
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一瞬頭が真っ白になって、俺は倒れた士龍に向かって駆け出す。
「士龍ちゃん。おい!!嘘だろ!」
珍しく取り乱して俺は奴の体を掴む。
「動かすな」
ピリッとした低い声がかけられる。
「テメエらも、すぐチャカ出すんじゃねェ。ガキ相手にワシがどーこーなると思ったのか?」
叱責する声が聞こえるがそれどころじゃない。
助けてくれると手を差し伸べてくれた奴が倒れたのだ。
「っ、大丈夫、肩をちっと掠めただけだ」
むくりと奴は身を起こして、かわした風情で肩を軽く払う。
「それにしたって、キタラちゃん、いきなり飛び出したらダメだろ」
庇って体の下にひいた長谷川弟の頭を撫でて余裕そうに笑う。
掠っただけとか言ってるが、シャツの隙間からわずかに血の色が見える。
どんだけ痩せ我慢してんだ。アホ。
「シロさんゴメンナサイ。パーパがいたから、つい」
ちらっと長谷川弟は、デカイ図体の見るからに大ボスを見上げる。
「おい、北羅、どうしてこんな危ねーとこにいるんだ?まだ、学校の時間だろう」
見下ろす相手は、長谷川弟を認めて慌てたような表情をする。威圧感が急激になくなる。
「学校の先輩を助けにきたんだよ。えっと、こっちはお世話になってるシロ先輩だよ。パーパ」
まさか、愛人とかのパパじゃねーよな。
だとしたら、父親なのか。
そういや、ハセガワのオヤジはヤクザというのはもっぱらの噂だった。
オヤジさんはどう格好をとっていいのか分からなくなった様子だったが、
「オイ、応接室を空けてこい。それと、主治医も呼べ」
と、構成員に命じると、こちらにこいとばかりに顎をしゃくった。
士龍の肩を担ぐように無言で富田は体を支えて歩き出した。
「弾は残ってないし、掠ったってのもあながち嘘じゃないが、肉を貫通してるだけだからな」
じいさんの医者が士龍を手当しながら、我慢するなとか、無茶するなとか説教をしている。
「北羅を庇ってくれて有難う」
「当たり前す、キタラは俺のトコの大事な仲間なんで。おじさんはキタラのおとうさん?」
ムチクチャ失礼な聞き方で肝が冷える。
「まだまだ子供だと思ってたが、こんなとこまでくるようになったんだな」
子供の成長を見守る父親そのものである。
「で、話というのは?」
一転して、話を聞いてくれるような雰囲気になった。
これなら、ハルカを助けられるかもしれない。
「ミネ ハルカと名乗っている奴を、返してほしい。駅前の店にいると聞いた」
俺は思い切って話を切り出した。
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