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「一ヶ月どころか、一日ももたねーじゃん…俺たち…」
のしかかりながら、コジマさんはため息をついた。
確かに…
男同士とか、それ以前に、俺たち自体が無理なんじゃないか?と、半ば投げやりな気分になった。
それを見透かしたのか、コジマさんは、またため息をついた。
「んで、お前は、今、もう面倒くせっみたいになってるでしょ?」
「ああ。なってるよ。やっぱ、無理なんじゃない?って…」
「そうだな。でも、そこは、俺が努力する。例え、毒牙に掛けられたとしても、俺の方が好きになったんだから。」
「じゃあ、なんなんだよ!あ゛ー、イライラすんな!もう、結論言えよ!」
「レイジって奴の代わりは嫌だ。」
少し被せる感じで、言われた言葉に、僕の顔から全ての表情が消えた。
なんで、ここでレイが出てくんの?
全く、意味がわからない。
「ほらな。結論から言ったって、訳わかんねーって、顔してんじゃん。」
「だって、意味わかんない。最初は、レ…あいつの代わりだったかも知れないけど、結局、あいつとは何にもなってないんだし…」
「結果論じゃねぇんだよ…わかんねぇかな?わかんねぇよな?」
「ああ。わかんねぇよ。マジで意味わかんねぇ。」
「じゃあ、聞くけど、俺といちゃついてる時、あいつの事、考えなかった?」
心臓に冷たい物が流れた気がした。
すぐに表情を殺したが、それが一瞬、顔に出てしまったのだろう。
「考えただろ?」
コジマさんが少しだけ、寂しそうな表情をする。
「考えたから……なんだつーの?」
僕は静かに言った。
聞かれた時はドキりとしたけど、考えたからと言って、何があるわけじゃない。
思考まで制限される権利があるのだろうか?
もし、付き合うと言うのがそう言う事なら、僕はごめんだ。
「すぐに、俺の気持ち汲んでくれとか、俺の事、愛してくれとかは無理だと思うけど…
俺を好きかもって思ってくれるのなら、ほんの数瞬でもいいから、俺のこと考えてくれないか?」
「…考えてる…」
「つもり…だろ?」
そう言うと、コジマさんは、体を退けた。
ゆっくりと、僕も起き上がる。
なんか、この空気が本当に嫌だ。
逃げたい。
つい、そう思う。
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