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*86*【コジマのターン】
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この子…なんで、こんなに馬鹿なの!?
馬鹿つーか……なんなの!?
死ぬの?死にたいの?煽ってんの?
なんで、こんなに人の気持ちがわからないかな?
つーか、空気読めないの?
先の展開を微塵も予想しないの?
「ちょっと、ひー君。
とりあえず、ベッドに寝転がって。」
俺は満面の笑みをヒサシに向けた。
ヒサシの眉間に怪訝そうなシワが寄る。
少し笑顔が態とらし過ぎたか?
「な…に……怒ってるの?なんで?
レイ彼女出来たって言ってたんだし、わざわざ気持ちに応えられないって言う必要もないじゃん!?」
ああ…もういい。しゃべんな。
ヒサシがちぐはぐな事を言うたびに、ついそう思ってしまう。
もちろん、思うだけで言わない。
ヒサシが本気でそう思ってるのもわかってるし、そんなヒサシにいちいち目くじら立てない俺おっとな〜って、いい気になってる処もあるから。
つーか、まず、怒ってんのはそこじゃねぇんだよ!
そう、軽いノリで返してやってもいいけど、今回は流石にムカついた。
軽いノリでいけないくらい、ムカついてる。
「わかった。わかった。この話は、後にしよ?ね?」
「えっ、本当に怒ってないの?」
「怒ってない。怒ってない。」
そう言うだけで、ヒサシはホッと息を吐く。
安心してんじねぇよ!
本当にバカじゃないの?怒ってるに決まってるじゃん。
もうちょっと、考えろ!俺の気持ちもわかれ!
そう怒鳴り散らしたい気持ちもある。
だが、今回は、俺にも落ち度がかなりあるから、そう強くも言えない。
大体がこの件自体、俺が蒔いた種な訳で、二人が再び会うリスクが高いことだってわかっていた。
そして、会ったらヒサシがそいつにまた傾くんじゃないかって、不安も大きい。
それでも、そうさせたのは、どうしてもこいつを俺の物にしたかったからだ。
ある意味、賭けだ。
その賭けに勝つ自信はないが、負けても取り返せる自信はどこかに持っていた。
しかし、いざ、ヒサシがこうも簡単に、あいつに丸め込まれる様を目の当たりにしたら、その自信も削がれて行くようだった。
こんな面倒な奴—しかも、男—に、なんで、こんなに夢中になってるのか、自分でもわからなくなる。
もしかすると、捕まえていなければ、ふわふわと流れてしまいそうな危うさにも、惹かれているのかも知れ無い。
この面倒な奴を、一生愛し続けられたら、かっこいいななんて、酔ってるのかも知れ無い。
それでもいいじゃん。
そう言うの全部含めて、好きになっちゃったんだから。
だけど、この考えだけで、心を落ち着けられる程、俺も大人じゃないんだな…
「もう寝よう?ほら、寝なさい。」
「うん……わかった。」
ヒサシは、少しの躊躇いを見せてから、ベッドに横になった。
俺はそれを見届けてから、トイレに行くふりをして立ち上がる。
さて、とりあえず、八つ当たりさせて頂きますか!
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