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*95*【レイに会うよ②】
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僕は店員さんが痺れを切らしてやって来るギリギリまで悩んで、最終的には、目についた物を指差した。
食べたいのかどうかも、よくわからないやつ。
「変わんねえなー。」
レイが逐一笑う。
なんだか、子供扱いされているみたいで、面白くはないけど、この雰囲気はありがたい。
僕の顔からも笑みが零れた。
「やっと、笑ったな…」
レイがポツリと呟いた。
「えっ?」
「なんか、電話のときから、緊張してたみたいだから…」
「それは…」
「ぅはっ、また、緊張させたか?そりゃ、そうだよなぁ…あんな事、しちゃ…」
一気に気持ちが重くなる。
このまま、何事もなく話して、恋人が嫉妬するからもう会えないなんて、コジマさんの所為にして別れようなんて、ズルい事を考えていたのに…
まさか、レイの方から話題を切り出して来るなんて…
僕は、返答に詰まった。
「いや……ひーが落ち込む事ないだろ?悪いの全部、俺なんだし……。」
「そんな事…」
「いや、そんな事あるって……
今更、言い訳でしかないけど、俺、あの時、なんかすげえ焦ってたから。」
"焦っていた"その言葉の意味が、今ならわかる。でも——
「でも、なんであの時……」
もっと、早く言ってくれればなんて、続けられるはずが無い。
僕は、目を伏せた。
「ぶっちゃけさ!」
突然の大声に、反射的に顔が上がった。
周りに居た人々も、一瞬、凍り付いた様にこちらへと視線を寄越している気配があった。
当の本人は、全く気にせず、あの人懐っこい笑顔を浮かべていた。
「ひーも俺の事、好きだと思ってたんだよね〜。」
「わっ、わっ、声デカイ!バカ!」
はす向かいに座っているカップルが仕切りにこちらを気にしてるのが見えた。
後ろの方でも、聞き耳を立てられてるかも知れない。
こんな事なら、最初から、レイの部屋で話したかった。
でも、そんな事知れたら、僕は確実に殺される。
焦る僕を見て、レイがぷっと吹き出した。
こう言う意地悪な処も、ちょっとコジマさんを連想させる。
これも、言ったら、酷い目に合わされるのだろうな…
いや、落ち込むかも知れない。
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