アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
*05*
-
「正直、同年代の人が来てくれて、俺、かなりホッとしたんだよね。だって、小うるさいおばちゃんとか来たらたまらないじゃん?」
いつ頃の事だろう?
話に合わせて記憶を辿ろうとするが、まだ思い出せそうにない。
「心細いのもあって、レジに来たひー君に言った訳。『俺、今日初日なんすよ。』って。」
うーん…ここまで聞いても全く思い出せない。
「ごめん…マジで忘れてる。」
素直に言うと、奴は照れた様に笑った。
「いや、いいよ。マジで俺にだけ特別な事だから…」
その笑顔が、好きだと口走った時の笑顔と重なり、僕もあの時と同じ気持ちになった。
顔が紅くなってはいないだろうか…と内心焦りながら、話の続きを待つ。
「そしたら、お前が『マジっすか?僕、この辺に越して来たばかりだから、多分毎日ここ来ますよ。』って笑った訳。多分、一文字も間違ってない。」
その言葉を聞いて、なんとなく記憶の糸が掴めた気がした。
でも、まだ上手く思い出せない。
そして、何故か照れ臭い。
「それで?」
僕は、照れ隠しに不貞腐れた様な調子で話を促した。
それに、奴はいつものニヤけ顔に戻っていた。
「なんだよ?この話つまんない?」
「いや、なんか、僕の名前云々の話からズレてるから…」
「これからこれから。」
「なんだよ…もったいぶるなよ。」
「いいじゃんよ。盛り上げたって。これから、ロマンスが始まるんだから。」
「ロマンスなんて始めるなよ。」
僕を好きと言うのは、恋愛的にどうのと言うのではないと思うが、僕のツッコミが好きと言うのは間違いないだろう。
奴はブハッと吹き出すと、
「なぁ、今、うちのカード持ってる?」
と、聞いて来た。
また、話がズレた気はしたが、「これからこれから。」の言葉を信じ、特にツッコミはいれなかった。
「ああ。まぁ持ってるけど?」
と、僕はパスケースから、このコンビニのポイントカードを取り出した。
「これ、入会日見てみ?」
そう言うと、奴は僕の手元のカードを裏返した。
日付の部分を指差す際に、顔が寄せられる。
近い近い近い!!!
そんな事をいえば、変に意識していると思われるかもしれないので、僕はなるべく平生を装いながら日付を見た。
約一年前、とある事情で引っ越した事もあり、落ち込んでいた時期でもあった。
その頃の記憶が、一気に脳内を駆け巡った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 119