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哀しみの雨 13
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「俺、謝りたかった。」
「え??」
篠原の吐息が俺の耳にかかって。
ようやく篠原の近くにいるんだってことが実感出来た。
「篠原と付き合っているのを隠していることも、借り物競争のことも、それから、」
「そのことならもういいですよ。」
「薫くんとのことも、あの質問に答えられなかったことも、」
「もういいから、ちょっと黙ってください。」
「全部、全部…俺が悪い。」
「ねぇ、黙って。」
「俺は…俺は…篠原を傷つけてばっかで、」
「先輩ッ!!」
「っ…」
両肩をグイッと押されて、体が離れる。
さっきまで触れ合っていたところに外気が触れて。
寒気がした。
「もうやめてください。」
「っ…」
何を??
何をやめるの…??
俺たちの関係??
俺と付き合うこと??
そんなに嫌いなのか??俺のこと…
「そんなに篠原が俺のこと嫌いだったなんて知らなかったな…」
「な、何言ってんですか…??」
「何って…。おまえが思ってることを言ったんだよ。」
「俺は別にそんなこと、」
「無理しなくていいから…。俺のためとか思わなくていいから…。」
「なんですか、それ…」
「……。」
「じゃあ、俺も言いますけど…。先輩はどうなんですか??」
「え…??」
「先輩は俺のこと嫌いなんでしょ??」
「な、んで…」
息が詰まった。
思考が止まった。
頭が真っ白になった。
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