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哀しみの雨 16
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俺の前にしゃがみこんで。
俺の涙を雨で冷えた冷たくて優しい手で拭う。
「もう俺は先輩の涙を拭うことも出来ない。」
「し、の…はら。」
「だから、泣かないで。笑って。先輩の笑顔は世界で一番きれいなんだから。」
「っ…」
涙の跡にそって頬を撫でる。
そして、両手で包み込んで。
コツっと額を重ねる。
額から伝わる篠原の体温が心地いい。
でも、この体温が消えてなくなってしまう…
そう思うと、怖くなった。
温かいのに冷たくて寒くなった。
「さよなら、先輩。」
笑顔と明るい声が。
静かな教室に響いて消える。
その声に、笑顔に。
ようやく自分の本当の気持ちがわかった。
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