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手出し無用2
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あの後、早々に追い出された。
「もう9時だ。出ていけ」
「家までのアシがない。」
「馬鹿言え。このマンションは駅チカだ」
「家が駅から遠い」
「知るか。ほら出た出た」
そういって昨日の服装を身に着けた二都を追い出した。ゆっくりと時間をかけて用意したつもりだが、かなり時間が早い。
三守はいつ頃出ていくつもりなのだろうか。ストーカーみたいな真似はするつもりないが、気にならないと言えば嘘になる。
「…はぁ…」
マンションの入り口近くで、上を見上げる。見えるはずのない三守の姿を想像しながら、二都は帰路についた。
「さて、と」
やっと二都を追い出すことのできた三守も、外出するための準備を始めていた。
この部屋にいて、外出するときはいつも同じ用事だ。そのため、持ち歩くものがセットで置いてある。体のラインがわかるハイネックに、ジャケットを羽織る。首回りが守られるのでハイネックを三守は気に入っている。
時間までまだまだ余裕がある。だから、今朝寝ている間に、二都にどこをあさられたか痕跡を探すことにした。
「まずは、たぶん冷蔵庫…」
冷蔵庫にはこれと言ってめぼしいものはおいていない。そもそも、この部屋の大体の滞在時間は毎回一週間程度かそれ以下だ。一週間でちょうど使い切る量の食料を入れている。
インスタントラーメンの位置も変わっている。ここも見たのか、と三守は呆れた。と同時に、コーヒーはここから発掘されたことを発見した。
瓶は昨日握りしめて眠ったはずだったが、なぜかローテーブルにあった。そこだけがネックだ。もし、一粒とられてどこかに持っていかれると困る。あれは、一応、ドラッグに限りなく近いポジションのものだ。医者にちゃんと処方されているものとはいえ、飲むたび緊張する。用法を間違えていないか、用量を間違えていないか。
最後に瓶をつかみ、バッグへと放り込む。準備完了だ。
三守は自車へと向かった。
車に乗り込むと、再度バッグの中身を確認する。今日は私服だから、ジャケットに入れっぱなしの物があるかもしれない。ないようなので、そのまま発進した。
しばらく運転していると、軽快な音楽が鳴った。百合子に勝手に設定されたのだが、流行りの音楽らしい。三守にはわからない。
携帯電話を触るため、スーパーの駐車場に入り込み車を止めた。
「はい…ああ、お久しぶりです。ええ。今から向かうところです。大丈夫ですか?予約してなかったので…あ、いえちょっと心配ごとがありまして。…え、うちにいらっしゃってるんですか!?早く言ってくださいよ!!お迎えに上がります。今どこに?…そこ私のマンションの玄関口じゃないですか…わかりました、少しお待ちください。私?私は、ちかくのスーパーです。早くつくと思います、では」
三守はため息をついた。頼りになる人ではあるのだが、いかんせん、行動が突拍子すぎるきらいがある。そこもまた、彼の魅力なのだろうけど。
とにかく、方向転換をして先ほどの部屋へと向かう。そんなに離れていなかったので、すぐに戻ることができた。
「お久しぶりです、二階堂先生」
「久しぶり~。元気してたかい」
「ええ、なんとか。先生は?」
「僕かい?僕も、まあ、ぼちぼちさ」
何気ない会話をしながら、玄関を通りエレベーターに乗り込む。隣の二階堂は鼻歌を歌っていた。
エレベーターから出ると、部屋へ向かう。
「相変わらずすごいとこ住んでるね」
「そうですか?先生よりはマシですよ」
「あ、言うようになったね、三守くん」
鍵を開けた三守は、ごく自然に、二階堂を部屋へ招き入れた。
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