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プライド
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洗面台の鏡を見て、風太は首を傾げた。なんだか随分と肌に張りがある気がする。肌の調子など細かい事を気にした事はなかったが、ここ最近はツヤツヤしている。
「何でだ、」
食事が原因かと思ったが別段普段通りだ、それに肌の手入れをした事もない。いつもとは違う何かがなかったか…獣耳と尻尾が浮かぶ。それでつい、先日の玄関でのアレコレから始まり今朝の行為までを振り返ってしまった。女性はセックスをするとホルモンの分泌がなんちゃらで綺麗になると聴いたような…と、そこまで考えたところで、っいや、今のなし!俺は男!とぶんぶん頭を振る。ふと、狼男の血が混じった事も思い出した。
「たぶんそれだ。」
小さく呟く。その血液は若返りの秘薬だと言ってなかったか。細胞の若返りによる肌の変化だとしたら…しかし、風太に混じったのはほんの少しだけの量だ、それでここまでの変化があるのか。
「風太!風太!見て見て!尻尾と耳が完全に引っ込んだよー。いつもより早い気がする、何でだろ。大人になったからかな?」
思考を遮る陽気な声。全裸の樹雨が頭髪と尻を風太に見せて笑う。性的モーニングサービスの後に、ムズムズすると言っていたのだ。
「え!あっ、本当だ。完全に消えたのなら良かったな。室内なのにフード付きのパーカーで誤魔化すのは限界あると思ってたんだ。」
本日の午後は、樹雨の弟である例の菊ちゃんこと、菊嘉がここへ訪ねてくる予定である。相変わらず能天気な樹雨はともかく、風太はどこか気持ちが落ち着かない。
樹雨の説明によれば、二人は異母兄弟で両親は既に亡くなっており、育ての親はよく話に出る雪ちゃんだった。その上、弟である菊嘉については狼男の存在すら知らない唯の人間である為、その事を話題にするのは駄目だという注意を受けている。隠し事が苦手な風太は、下手な事は言えないと早くも緊張が増す。
「まあね。でもバレるならそれでもいいかなぁって思ってたんだ。雪ちゃんも一緒に来ると思うし、言い逃れの出来ない状況を作れば…そしたら、きっと、」
樹雨にしては、真面目な声と厳しい表情だった。風太には分からない、家族間の溝のようなものがあるのだろうと解釈し、敢えて口は挟まずにいた。現代における狼男の存在など、滅多に口にするのもはばかられる問題で、複雑そうな家庭事情の空露家では余計に難しそうに思える。
「まあ、元に戻って良かったじゃないか。これで外出も自由に出来るだろ。」
「うん、そだねー。さてと…そろそろ中を洗わないと。風太、シャワー浴びよう!」
明らかにげぇ、と顔を歪めた風太は即座に断った。
「いや、自分でやるからいい。お先にどうぞ、一人で浴びちゃって下さい。」
「何で?何で?一緒に入ろう。」
ぐいぐい手を引かれ、振り解く暇もない。それに風太の腕力では樹雨に及ばない、あっという間にシャワー下に連れて行かれてしまった。
「はい、風太。洗うところ見せて。」
シャワーノズルを渡され、にっこりと可愛らしい笑顔で促される。
「はあっ!?冗談だろ。」
「ううん。本気。」
無邪気な笑顔の奥に、気の所為かもしれないが他意が見える。風太は、こんな事なら素直にモーニングサービスのおかわりを受けるか、洗ってくれると言うアフターサービスを受ければ良かったと一瞬気を迷わせた。いや!そんな事じゃ駄目だ、しっかり拒否するんだと自分に言い聞かせる。
「だって、自分でするの初めてでしょ?やり方分かんないかなぁ、と思って。」
「や、大丈夫です。なので、先にシャワー浴びて出て行って下さい。」
ずいっ!とシャワーノズルを樹雨に向けて、受け取れと目で促すと首を傾げてかわされた。
「んー…、じゃあちゃんと出来るか心配だから、見届けてからシャワー浴びる。」
「ん?」
拒否を拒否られた。たかが穴を洗う行為とはいえ、されど尻の穴だ。しかし、樹雨には何度も触られたり見られている穴。ここで恥じらう必要はあまり意味が無いのかもしれない。風太は悟りの境地に身を置いた。
「分かった。」
手早く終わらせ、さっさとここから出ればいい。覚悟を決めて樹雨に背を向けた。しかし、尻あたりに強い視線を感じる気がする。気の所為、気の所為、と唱えながら左側に持ったシャワーを床へ向けて出し、そろそろと尻の谷間へ右手を這わせて穴を探る。腰をちょっと突き出し、初めて触れる湿った穴の窄みに怯みながらも指を一本挿れれば、想像よりも案外簡単に温かい肉に包まれる。
「ぅ、」
息を詰めてぬちゅっと濡れた感触の内壁を進み、シャワーの湯と一緒に掻き出す為に横へ少し広げた。つ、つ、つ、とろみのある液体が滴れて右手と内腿を濡らす。
「ぐわっ!」
びびって指が穴から抜ける。慌ててシャワーを尻に当てようとした左手首を、背後からガシッと掴まれた。しかも風太の事を抱き締めるように伸びた手が蛇口を閉める。至近距離で背中に息がかかり、ぶるりと震えが走った。
「風太ぁ、色っぽい。」
欲情がだだ漏れの声。
「はあ?何故そーなるよ!ばか!」
尻に当たるのは、どう考えても勃起したアレだ。
「うん。ごめんねぇ。」
その謝罪が浴室でのセックスを指している予感がし、風太は逃げようとした…が、もう遅かった。少し曲げていた腰を両手で引き寄せられた途端に、ぬっぽりとものがハマる。
「っあぅ、」
カツッと音を立て、シャワーノズルが左手から落ちる。風太の気持ちは御構い無しに、前準備を必要としない解れた穴は、唐突な進入を受け止めて直ぐに順応した。浴室の壁に手を突き、スライドに合わせて背中が反る。
「あ、あ、あ、あ、」
開けた口から喘ぎが漏れて響く。だらりとしていた下半身が触りもしないのに徐々に上がり、揺さぶられる度に硬度が増す。風太には信じられない、認めたくない変化。突かれるほどに穴の中から芽生えた快感が大きくなり、じんじんと体を侵す。もう完全に勃った下半身はゆらゆらと揺れ、先走りで濡れている。
「ああん!」
「ここ、突かれるの好きだね。覚えちゃった。」
その言葉に涙が滲む。羞恥心も、快楽も、愛おしさも、全てが混じった涙は樹雨に気付かれぬまま、風太の目尻からゆっくり頬を伝う。微かに形を成していたプライドなんて木っ端微塵に砕け、喘ぎに飲み込まれ、埋もれていった。
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