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息を飲む
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体育館の中には、バスケ部の大きな声が響いている。
きゅっ、きゅっ、とシューズの音を鳴らしながら、俺もボールを追いかけていた。
「よーし、じゃ、十分休憩とるから、ちゃんと水分とれよー」
『っす!』
主将の歩先輩が叫ぶと、皆一斉に自分の水筒に走る。
「....っ、はぁ、」
スポーツドリンクの入ったペットボトルを持って、俺は外に出た。
さぁっ....
涼しい風がふいて、ふと、俺は第二校舎への入り口の方を見た。
「.............っ、」
息を飲む、って、こういう事をいうんだと思った。
そこには、きらきらと涙をこぼす人がいた。
沈みかけた橙色の日の光に包まれて、それは、ほんとに綺麗だった。
なんで泣いてるの?
大丈夫?
聞きたかった。でも、聞けなかった。
声が出なかった。
ぼうっとみとれていると、歩先輩の声が聞こえて、やっと体育館に戻った。
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