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二人は朝ご飯を食べ終えると、白い鳥の世話をするために居間へと戻った。
襖をあけ中に入り、ちゃぶ台の上で眠っているであろう白い鳥のほうを見る。
しかしその予想は外れていて、白い鳥は目を覚ましていた。
傷のせいでまだ動く事ができないのか、座ったまま警戒心丸出しで、じぃーっと二人を睨みつけている。
「サイカさんっ!鳥さん起きてます!」
秋人は後ろにいるサイカの着物の裾を引っ張りながら興奮ぎみにそういった。
「本当だね…。(睨まれてるけど)」
サイカは苦笑いしながら秋人に答えると、さっと中に入り白い鳥の側により何かを呟いた。
すると、警戒していたはずの白い鳥は「カァー」と一鳴きすると睨むのを止めた。
秋人はサイカの後ろに行くと白い鳥の様子を伺った。どうやらもう大丈夫なようだ。秋人は白い鳥に近づきそっとその透き通るように白く、日の光にキラキラと輝く美しい羽にそっと触れた。
「痛くない?大丈夫?こんなに綺麗なのに飛べなくなったりしたら……。」
羽を労るようにそっと何度も何度も撫でる秋人を、白い鳥は驚いたように、その赤くクリクリとした目を見開きみつめる。
サイカはその様子を横で見守りながら、台所で作っておいた薬を取り出し練っていく。
白い鳥は秋人を見つめると「カァー」とないた。それに秋人は笑いながら「カァー」と鳴き真似で答え頭をなでる。
白い鳥は、また秋人をじぃーっと見つめると「カァー」と鳴く。
「秋人、薬を塗るから包帯取ってあげて。」
「はい!!」
秋人は白い鳥に「今から包帯取るからね、痛かったらごめんね⁉」と言いながらゆっくりと包帯を取っていく。
白い鳥は、秋人を見つめるながら大人しく秋人に身を任せている。
「サイカさん……。」
「なんだい?」
「さっきから思ってたんですが…この子鳴きかたからして「カラス」ですよね?」
秋人の言葉に白い鳥は一瞬ビクッと体を震わせる。
「うん、そうだね……。」
一般的に知られたカラスの色は黒色。
しかし、目の前にいるカラスの色は白く、その瞳の色は赤。
「アルビノのカラスって事なのかな?
」
秋人の言葉にサイカは頷く。
「昔、義正にアルビノについて教えてもらった事があるけど、その症状に似ているね。」
秋人は「そっかぁ…」と言うと白い鳥の頭をゆっくり撫でる。
サイカはその様子を黙って伺う。
「この傷も、他の子に意地悪とかされてなのかな……。」
アルビノはその見た目の違いから仲間外れにされたりすることがあるらしく、明らかに故意につけられたであろう白い鳥の傷を秋人は見つめながら、その眉間にシワをよせた。
「こんなに綺麗なのにね…。君が悪い訳じゃないのにね…。」
悲しそうに白い鳥を撫でていた秋人は、しだいに静に泣き出した。
その姿を見た白い鳥は、驚きのあまり「カアッ!」と声がもれる。
そして、次の瞬間には秋人の顔をまじまじと見つめながら「なぜ泣くっ!!」
と人語で話していた。
「えっ?!」
今度は秋人がびっくりする番だった。
「鳥さんが喋った!!?」
慌てふためく一人と一匹、この中サイカだけが一人冷静に二人を見ていた。
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